とき:平成16年10月9日(土) ところ:金沢21世紀美術館
美術館が建っているこの土地は、もとは金沢大学の附属小・中学校があった場所であります。学校の移転に伴い、平成3年に跡地取得の依頼が金沢市にあり、譲り受けに際しましては、本日ご臨席の森前総理大臣のご尽力を賜わりました。間もなく、ここに新しい美術館の建設をという要望が、地元の美術団体である石川県美術文化協会から寄せられ、これに応えるべく、美術館等構想懇話会を設け、審議を始めたのが平成8年であります。
そこでの熱心なご意見のほか、広く市民の方々のお声も頂戴して構想をまとめ、財政面の対応も万全にし、平成14年に着工して、本日、完成の運びとなった次第であります。土地を取得してから10年あまり、顧みますと大変に感慨深いものがございます。 この間にいただきました、地元文化団体をはじめ、関係各方面の方々のご指導、ご尽力に深い感謝の意を表します。また、長引く不況の中にもかかわらず、終始変わらぬご理解とご支援を賜りました市議会と市民の皆様方にも、厚くお礼を申し上げます。
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| 金沢21世紀美術館 |
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この美術館の建設工事にかかった2年の間、私は、胸が高鳴るような「ある声」を何度も思い出しておりました。先に申し上げましたとおり、市役所に隣接したこの場所は、かつては小学校と中学校があった場所であります。運動会などの折りに校庭から響いてくる子どもたちの歓声は、未来を呼び寄せる声であります。この未来に対して、敬意を払うマチでありたい、もちろん、歴史に責任を持つマチでもありたい…いつも、そう念じておりました。子どもらの声は、耳を澄ませば、いまも聞こえてくるようであります。奇しくもその場所で、金沢はいま、文化の未来を開こうとしているのであります。
現在、古典として輝いている数々の美術工芸品は、デビューした当時は「先端」であったはずであります。それが今日、高い評価を受けるに至ったのは、未来に敬意を表するという、当時の社会の大らかな後押しがあったからにほかなりません。未来への後押しという、精神的で知的な空気を作る資格が、このまち金沢にはあると思うのであります。
こう申し上げた上で、この美術館に関して3点のことをお聞きいただきたいと思います。 まず第1に、この美術館で展示する作品は、世界規模で集めた近現代の多様な表現形式のものに、新しい作風の金沢の工芸を加えることによって、文化同士の緊張を生み出すということであります。この緊張感が美術界や文化産業面での刺激となり、新たなムーブメントを起こす発信源となると確信をいたすものであります。
2番目は、この美術館は市民とともに歩む参加交流型の美術館であるということであります。そのために、大人だけでなく、子どもたちが何回でも楽しみに来られるような仕組みや作品との出会いを工夫いたしました。すでに300人の市民ボランティアが美術館スタッフとともに活動をサポートすべく、研修に入っております。また、作品の展示だけでなく、音楽会やファッションショー、パフォーマンスなど様々な実験や発表が行われ、ワクワクした交流の輪が広がる、そんな躍動する美術館をイメージしているのであります。
3つ目は、美術館を「元気の素」にしたいということであります。言うまでもなく、この美術館は金沢市のど真ん中に位置しており、商店街の延長線上にあります。買い物ついでに、待ち合わせの場所に、或いは時間つぶしに、しょっちゅう訪れて刺激をもらい、気持ちが満たされる。そして元気になった市民がマチに戻り、マチがさらに生き生きとしてくる…そんな姿も想像しているのであります。
この美術館の設計は、世界的な建築デザイナーである妹島和世さんと西沢立衛さんの共同製作によるもので、「マチに開かれた公園のような美術館」というのが設計概念であります。開放的で明るく、21世紀を名乗るにふさわしい建物となりましたことを、お二人に感謝する次第であります。
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| 市長式辞 | テープカット |
さて、器はできました。これからはすべからく運用であります。経済環境の厳しい時期でありますだけに、マネジメントには格段の工夫を凝らす必要があります。同時に、アートへの理念を失わないよう、注意を払い続けなければなりません。
そのため、既存の美術館との分担と提携、金沢美術工芸大学による美術館の活用、金沢が8年間にわたって取り組んできた最新のデジタルアート・イベントの「eAT金沢」との連携を通して、美術分野に留まらず、テキスタイルやアパレルファッション、印刷や映像など、ビジュアル産業の発展までを視野に入れた貢献を考えております。
まずは、行動であります。蓑館長はじめ、スタッフ一同ともども、これからのミュージアムのあり方を示すモデルとしたいと情熱を燃やしております。また、情熱を燃やし続けてまいります。ご列席各位の、ご指導、ご支援をこれまで以上に賜りますよう、幾重にもお願い申し上げるものでございます。
言葉よりも雄弁な実物、即ち作品が目の前にございます。あとは、現実をして語らしめたいと思います。
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