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「金澤ふうライフ」 魅力発信report!

~ モデルモニター 岩瀬 大二 さん ~

金沢ひがし廊 志摩で 抹茶を一服
金沢ひがし廊 志摩

プロフィール;
ライター、プランナー、ディレクター、MCなど多様な視点・手法で人と人、企業と人、日本と世界などさまざまな関係を強化する「コミュニケーション・エンハンサー」。
'80年代後半、情報誌の取材記者として活動開始。
以後、多数の大手企業のSP、新卒採用、ブランディングをコピーライター/ディレクターとして手がけ、WEBビジネスの黎明期から日本IBMの子会社にてWEB&コピーディレクターを担当。2002年に独立。
上場企業トップ、著名人をはじめ1000本近くのインタビューを担当。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
 

モニタースケジュール

海鮮丼 近江町市場
海鮮丼

■1日目
近江町市場
ひがし茶屋街 金沢ひがし廊 志摩
金沢クリエーターと夕食
町家宿泊
 
■2日目
まちなかフレンチレストラン 昼食
和菓子作り体験
加賀温泉郷
 
■3日目
「こまちなみ」保存地区~大野町~
金沢おでん
 

<はじめに>

今回、私の旅の目的は、食と酒。
これを観光という「いままでの金沢」ではなく、もし、ここに住んだら…という視点で追いかけてみた。
 

<1日目>

近江町市場にて
近江町市場にて

 最初に訪れたのは近江町市場
 午前10時頃に到着。市場を冷やかしながらちょっと早めの昼ご飯をと目論んでいたが、冷やかすつもりがベタはまり。正直なところもっと観光化された場所かと思っていたがとんでもない。もちろん私のような県外の者向けの売り口上やサービスはきちんとしているけれど、そこに並ぶ魚、野菜たちは金沢の生活に密着した魅力を発散していた。普段都会では見ることのできない加賀野菜について質問すれば、お店の人々はうるさそうな顔は一切見せず、むしろ嬉々として説明してくれる。
 なによりも驚かされたのは総菜の数々。まさに生活がそこにあった。1日最高で5000個あまりを売ったという名物近江町コロッケ。人気アイテムという「かに入りコロッケ」を店頭でほおばる。続いては500円也の牡蠣を剥いていただきそのまま食す。そろそろ名物の海鮮丼を…の前に鮮魚店に併設された露天居酒屋に吸い込まれる。2月の金沢、少し冷えた体に地元の日本酒「宗玄」のカップ酒が染み渡る。カップ酒と侮れないうまみ。タラをフワッと揚げた串と、さざえのつぼ焼き、はまぐり…1000円あまりの贅沢。通いたくなる。
 観光できて、いくら地方発送オッケーといっても、やはり躊躇してしまうもの。ここでの生活拠点があれば…。近江町市場内のスーパーの総菜とこの1000円の贅沢。都内から友人たちを招いて一緒に買い物をして、家で一緒に料理し、酔う。そんな休日が思い浮かんだ。予想外に時間が過ぎていた。
 
 午後はひがし茶屋街へ。国指定重要文化財「金沢ひがし廊 志摩」で茶席を楽しむ。日本酒を一献を金沢で…も風流だが、お茶を一服、も、なかなかふだんの都会暮らしではできない男の粋じゃないか、などと思いながら、当時の置屋をそのまま保存した場所で旦那衆をきどって。若者グループが神妙な面持ちで隣に。慣れない手つきだけれども、それはこちらも一緒。そんな彼らも和菓子を一口ほおばると、にこやかな表情に。女性観光客に人気のひがし茶屋街、そしてこの志摩だけれど、考えてみれば、旦那衆が心地よい見栄を張ってきた場所。男友達とここで一服も、いいんじゃないか。苦味よりもほんのりやわらかさを感じるお茶が、心地よかった。
 

カニ 甲羅焼
カニ 甲羅焼

 この日の夜は、東京から金沢に移って活躍しているクリエーターと。不思議な縁で意気投合した彼が紹介してくれたのは、まさに地元の縁がなければ知ることもできないであろう、1日1組だけの隠れが割烹。元々片町で腕をふるっていた大将が、マイペースで大切なお客様だけを相手にしたいと自宅を使って始めた店。そう書くと頑固親父の厳しい店という感じだが、真逆。優しさと笑顔、味ももちろん同じ優しさ、笑顔がこぼれ酒杯も進む。かにづくしのメニューだが、豪華さ派手さではなく、しみじみと楽しめる。ぬたの素朴な小鉢が、加能がにと遜色のない喜びを。近江町でも感じたのだが、味付けが優しい。甘い訳ではないけれど甘やかで。雪の中、北国の厳しさというよりも北国だからこその暖かさを感じた夜だった。
 
 宿にしたのはひがし茶屋街の町家。おもむきのある外観はそのままに中をモダンにまとめた1軒宿。ここも宿泊できるのは1日1組だけ。
 この町家にあったショップカードをたよりに、川向こうの主計町(かずえまち)茶屋街へ。町家の前の橋を渡り、川沿いの風情ある店のもう1本奥へ、看板もメニューもない店の扉を開ける。2階へ上がると、和モダンの空間。カウンターには粋な風情の旦那衆が若い女性にモルトウィスキーのなんたるかを蘊蓄ではなく優しくガイド。畳敷きの席には6人ほどの若いサラリーマングループが、背伸びでもなく、でもくだけすぎない感じでウォッカトニックなどを開けている。私は、ゆっくりとアードベグのソーダ割とラムをショットでいただく。これもまた柔らかい語り口のバーテンさんが、最近の町家事情を教えてくれる。ああいうところに住めたら格好いいよね、という私の言葉に、現実的な部分も交えて、ちょっとだけ背中を押してくれた。
 

金澤町家 玄関外観
1日目の宿(金澤町家-東三-Higashisan) 

室内より中の橋を眺める
室内より 中の橋を眺める

<2日目>

しいのき迎賓館 レストラン

 快適な町家での眠りの後、朝、淡雪の中で町家付近をゆっくりと散策。地元アーティストの食器やグラスなどを眺め、その後、ポール・ボキューズへ。東京に数あるファインダイニングとは違う空気感を求めて。その違う空気というのは漠然としていたのだけれど、ランチの1時間30分でそれを十分感じることができた。雪が降りしきる中、古い洋館(しいのき迎賓館)をうまく利用して出来上がったモダンな空間。
 ここでのサービスは、さわやかで上質のおもてなし。東京のファインダイニングと呼ばれるレストランにともすれば欠けがちな微笑みが、いい。金沢出身というソムリエさんとスタッフの女性との会話が料理とワインをさらに豊かなものに。この日のランチメニューは幸せな偶然で、季節限定の石川県産の食材を使ったコース。サービスの女性の説明は、マニュアル的なものではなく、自分の子供時代の体験を交えて、その食材がどのように金沢で親しまれていたかを教えてくれる。
 昨日の近江町市場でみた加賀野菜、金沢の海の幸。それがいきいきと、ボキューズ風のエスプリともに。窓の外で降りしきる雪がむしろ、より暖かみを増してくれた。ワインは白と赤、そして食後酒まで。思わぬ堪能。
 

和菓子づくり

 お酒だけではない心地よい気分で向かったのは、近江町市場と駅の間ほどにある老舗の和菓子屋・越山甘清堂 本店。ここでは和菓子づくりの体験をした。昨日、志摩でのお茶体験での和菓子に感激。金沢は和菓子の町とも聞くので、お茶を体験したなら和菓子も…という勢い。会場は店舗の2階。40人ほどの参加者。お母さんと小さい子供、カップル、観光の女性グループが中心。その中には、私のような年齢の男性は見受けられなかったが、それもまた楽しいもの。
 先生は、もとは京都で長くパティシエをしていて、数年前に金沢に和菓子職人として戻ってきたという方。「逆辻口さんですね(笑)」という微笑みにこちらもリラックス。3点ほどの創作和菓子をわかりやすいレクチャーで。30分ほどの講習。自分のできばえはともかく、心安らぐ時間を過ごせた。後ろの席で見事な腕前を見せてくれた青年は彼女と一緒に富山から。隣の女性グループは東京の女子大生。金沢を訪れる若い世代との交流も楽しかった。
 
 この日の金沢の予定はここまで。友人に紹介してもらった加賀温泉郷の宿へ。特急しらさぎでわずか25分。これも金沢拠点の楽しみ。2015年には新幹線でさらに便利に湯の宿での時間が過ごせる期待感。
 

<3日目>

大野町地区 こまちなみ
大野町の「こまちなみ」

 3日目は、早々に金沢に戻る。この日は、観光の中心である駅東口側ではなく、最近開発が進むという西口側へ。目的はその先の大野町という場所。北前船で栄えた金沢の古い港のエリア。伝統的に醤油や味噌を作ったりあつかったりしていたということで、その昔の建物を保存、再利用して、新しく息吹が吹き込まれているという。横浜の赤レンガや函館の金森倉庫のような派手やかで大きなものではなく、あくまでも生活がそこにあって、通り過ぎてしまえば何も発見できないようなつつましやかな町並み。けれどもそれがいい。
 

大野町 レストラン

 静かすぎるぐらいの町を港のほうに歩いていくと、そこで見つけたのは1軒のレストラン。8席ほどのカウンターと、1席のテーブル。オープンキッチンの向こう側に金沢の港、海。お一人で切り盛りしているというご主人が、白い正調のコック服を粋に着こなし、軽快にフライパンをふるう。ワインリストは少ないけれど、ここの料理にぴたりとはまる飾らないフランスのグラスワイン。フレンチと洋食を心地よくあわせた料理。ポークソテー、鮮魚のポワレに、思わずその技術のすばらしさに敬意を表して、もう一皿見たいということでオムライスをオーダー。これまた見事な技と、しかし、ほっと安心するような味わい。窓の外の冷たい雨が、ボキューズの雪と同様、むしろ心地よいスクリーンに。
 その帰りに寄ったのは、直源醤油。こちらは町家のリノベーションのように明治の味噌蔵をモダンな建築でアレンジ。各種の醤油やそれをもとにした出汁など20種類に及ぶアイテムのほとんどを試飲した上で購入ができる。やや甘めながら辛さもしっかり強い金沢流の醤油と出汁を購入。この醤油と出汁こそ金沢のソウルフードには欠かせないものなんだろう。
 
 このタイミングで飛行機欠航のインフォメーションが。むしろこれを幸いに駅に向かい、特急はくたかで越後湯沢、そこから上越新幹線で東京というルートに切り替える。今は5時間におよぶ長旅。2015年にこれが2時間25分となれば、はじめからこの選択ができる。
 少し遅めの時間に指定席の予約を設定。醤油、出汁、寒い中で冷えた身体…選択は、金沢おでん。評判をよく聞いていた片町スクランブル近くの赤玉本店へ。創業昭和2年。金沢とおでん、という組み合わせは思いつかなかったが、考えてみれば自然な組み合わせだろうか。東京では想像がつかない、多種多様なおでんとそのプレゼンテーションにおどろく。車麩などの普段食せないものを中心に、日本酒は4種の地酒を1合ずつ。やはりここでも金沢の普段の味は、やさしくまろやかで、良い意味で派手さがない。心地よい時間。気分よくバスに乗って駅へ。駅でも地元の日本酒のカップ酒を買ってはくたかへ。
 

金沢おでん 赤玉本店

金沢おでん
金沢おでん

<さいごに>

 この滞在で、金沢の豊かな食文化を体感するとともに、それを生み出すおもてなしの気持ちや脈々と受け継がれてきた技法、こうした技法を尊重する文化を感じられた。観光で通り過ぎる金沢の味、店ではなく、普段使いしたい食やお酒の粋を感じられた。都会からのエスケイプではなく、都会と同じように振舞いながら、リラックスできる。友人を呼びよせて楽しむ、そこで酒を酌み交わし、おいしいものに囲まれて、新しい活力とアイデアを生む。元気と癒しと、その両方を粋な街の中で…。女性、観光、というイメージでみがちな金沢だったが、そこはやはり加賀百万石の浪漫。男性同士の、新しい風流な居場所、という視点、ここでのもうひとつのくらしを思い描けた2泊3日だった。
 

「金澤ふうライフ」後日談 ~3日間を振り返って~

 旅行、観光で訪れる場合はどうしても総花的に眺めることになってしましますが、今回はここで自分が暮らすとしたら…というテーマがあって、まず自分が好きになれることはなんだろう?という視点で過ごすことで、自分にとって見えなかった金沢が見えてきたような気がします。自分が好きなこと、ということを掘り下げられたので非常に濃い体験となりました。
 

★金沢の食文化

 これも観光目線、つまりは「次はしばらくない」ではなく、日常でも味わえる機会がある、というイメージで食したり飲んだりしたために、今までにはない発見がありました。毎日食べても飽きずにほっこりできる出汁の世界、身近にあるおいしい魚、野菜、惣菜、ちゃんとうまくて安い酒。毎週でも腰かけたい金沢おでんのカウンターに、東京ではむしろ味わえない微笑みのサービスが展開されるフレンチレストラン…。都会で特別なことが日常にある、という感覚がありました。
 

★「金沢で暮らす」ことの魅力や良さ

 金沢ならではの豊かな食、歴史に根ざした心地よい世界観は、素直にストレスフリーのマインドを生みそうに思います。私の職業であるデザイン、クリエイティヴ面でも、首都圏とそん色のないレベル、理解度があるように感じました。適度に都会で、適度に地方都市で、適度に田舎という、その3つの適度感が心地よい街だと感じました。行政のサポート、現実的に暮らす上でのリスク、住宅事情、生活する上での家計面などはすべてを理解できたわけではないのですが、東京との距離感は2015年にこれも程よい適度な距離になるかと思いますので、十分、便利になれた東京の人間でも暮らすという選択肢に入ると思います。
 個人的には、レベルの高い食文化、それをサービスする人々の適度なおもてなし、町全体のスタイリッシュさ、京都などと比較しても決して劣ることのないブランド(これは、どこに拠点を移したの?金沢なんだ。という受け答えがあった場合に周囲はおそらくポジティヴにこの件をとらえるであろうという、ある種の見栄のようなものもあります)が魅力に感じます。
 

★二地域居住や移住を検討中の皆さまに向けて・・

 もし私がこの地での活動を考えるならば、即移住よりも、二地域居住+金沢での案件を通じて少しずつ金沢での友人や理解者、自分にとってのロールモデルとなる方々を増やしていきたいと考えます。フロンティアとして飛び込むよりも、じわじわとこの街を知りながら、じわじわと好きになっていくというアプローチも悪くないと思います。町家を改造した家に住んでみたい!と直感的に思いましたが現実的にはハードルが高いことも地元の方に教わりました。金曜の新幹線で金沢へ。土曜、日曜は遊ぶことも、地元の方と交流することも、景色の良いカフェで仕事をするのも良いかと思います。そして、東京の友人を呼んで、一緒に近江町市場で買い物をして一緒に料理をして飲み明かす、そんな粋も楽しいのではないでしょうか。できればこちらでの仕事を受けて、木曜日の夜から…というのも理想です。
 

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都市整備局 定住促進部 住宅政策課
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