金沢市冬期バリアフリー計画 3-3(2)
3−3 歩行者ネットワークの整備内容(つづき)
3. 住区内ネットワーク
生活道路の除雪は、歩道整備されていない道路で散水融雪が整備されている路線もあるが、すべてを施設整備するには予算上(初期投資、維持管理費用)も、水源確保の上でも難しいため、市民の協力を得ながら除雪を行う住民協力による除雪対応を基本とする。住区内ネットワーク地域は、住区内の細街路を面的に位置付ける。
1. 住区内ネットワーク地域における重点整備路線の設定
- 住区内ネットワークでは、冬期における歩行者の主要動線が、公共施設配置や自動車交通量等、地区の特性に応じて異なることから、地域の住民が主体となって、優先的に歩道除雪を行う重点整備路線を設定する。
- 設定された重点整備路線については、地域の住民が協力して除雪を進め、それに対し、行政は様々な支援を行う。

住民と連携して除雪を行う住区内ネットワーク(例:長町、長土塀地区)
2. 現行制度の普及・充実による住民除雪

住民協力による生活道路の除雪
町会等へ除雪機の購入補助や、除雪機械の貸与等、現行の歩道除雪制度の普及や充実を図り、住民の協力を得ながら、官民一 体となった歩道除雪を進めて行く。
(参考:現行制度は、2−3(3)参照)
3. 住民が主体となる除雪活動の施策

図 V・S・Pの仕組み
- 町会や商店街などの単位で希望団体を募り、行政が小型除雪機の貸与、障害保険等を代行し、委託契約を交わすボランティア・サポート・プログラム(VSP)の活用をしたり、通学路等については小学校等と連携を図り除雪活動を進めるなど、住民が主体となるさまざまな除雪活動の施策の導入を図る。
例1)ボランティア・サポート・プログラム(V・S・P)の活用 - 町会会単位や企業、商店街等、各種団体が道路管理者と協定を結び、除雪活動を 行い、道路管理者は各団体に対して機械貸与等の支援を行う。
- また、行政は、これらの団体の活動を広めていく。
ボランティア・サポート・プログラム(V・S・P)の事例
歩道除雪(石川県津幡町)
津幡町の「中条地区振興会」と「井上地区振興会」が、地域の通学路の確保を目的として津幡町及び金沢河川国道事務所と協定を結び、平成13年12月からV・S・Pによる歩道除雪を実施している。道路管理者は実施団体に対し、小型除雪機械の操作についての講習会や操作マニュアルビデオの作成などを行い、実施団体は通学路となっている国道159号の歩道について適宜除雪を行っている。

通学途中の小学生
例2)小学校等との連携
総合学習の一環として、通学路の除雪を行う。
小・中・高校生による雪かきボランティアクラブによる地域の除雪活動に対し、道路管理者は学校にスコップや軍手購入の援助を行う。

市民協力による除雪作業
例3)市民一斉除雪デー
大雪の場合は、市民一斉除雪デーを設定するなど、官民一体の機運を盛り上げる。
例4)ポイント整備
ネットワークの連続性確保のため、横断歩道接続部、巻き込み部、バス停など、堆雪しやすい箇所等については、ポイント整備を行う。
1.ネットワーク不連続箇所の無雪化

片町スクランブル交差点
交差点や横断歩道接続部など、ネットワーク不連続となる場所の除雪については、ポイント整備を順次進める。
2.バス停の整備
バス停は、公共交通の利用促進、冬期における休憩スペース、金沢市の景観要素としても重要であるとの観点から、乗降客が多く(おおむね500人以上の乗降)、病院や福祉施設周辺のバス停については、機能面、景観面、バリアフリー性、情報伝達性を兼ね備えた通年型のバスシェルターの整備を行うことを検討する。
例)三社(女性会館)、出羽町(国立病院)、小立野(大学病院)、大学病院前 など


バス待ちスペースを無雪化した例(猿丸神社前バス停)
事業者 | 冬期バリアフリー対策整備内容 整備済み歩道 |
冬期バリアフリー対策整備内容 未整備歩道 |
|
---|---|---|---|
シェルター・上屋整備 | バス事業者 道路管理者 |
歩道幅員に応じて、施設整備 | 歩道幅員に応じて、施設整備 |
バス待ちスペース(歩道)の無雪化 | 道路管理者 | なし | 無散水、散水消雪整備などまたは除排雪 |
乗降部(車道側溝~歩道縁石)の無雪化 | 道路管理者 | 車道グレーチング、縁石周辺の無散水、散水あるいは乗降部分の除排雪 | 車道グレーチング、縁石周辺の無散水、散水あるいは乗降部分の除排雪 |
また、バス停には除雪用のスコップと融雪剤(塩化カルシウム)を設置し、バス利用客や地域住民に、バス停周辺の除雪に協力してもらう運動を進める。
バス停スコップ設置事例
思いやりのひとかき運動(新潟市)
「思いやりひとかき運動」とは、バス停や横断歩道付近の主要な場所に、除雪用のスコップを配置しバスや信号待ちの人たちからひとかきの除雪に協力してもらうことにより 、高齢者や障害者が安心して歩けるようにする運動である。設置については地区社会福祉協議会で設置要望をとりまとめ、その後、市社会福祉協議会が各地区社会福祉協議会の要請をとりまとめ、行政と連携してスコップを設置している。冬期間中は、市内191ケ所に雪かき用のスコップが設置されている。


バス停や横断歩道付近にスコップと看板

バスを待つちょっとの時間でひとかき運動
3. その他の対応策
その他、除雪で対応できない冬期の問題に対しても、除雪に関する相談窓口の設置や、福祉分野等との連携による外出支援、除雪の人材紹介など、さまざまな対応策を検討する。
1.相談窓口の設置
- 冬期の除雪に関する相談を受け付ける相談窓口をホームページ上に設置する。
- 「石川県 道の相談室」のホームページ
- 「国土交通省 道の相談室」のホームページ


ご相談は、076-225-1730(石川県土木部道路整備課内)、または0120-106-497(北陸地方整備局)まで
2.積雪に関する情報提供

金沢市内の積雪状況に関する情報提供もホームページ上で行っていく。(冬期期間のみ掲載)
3.福祉分野等との連携による外出支援
冬期における外出支援策として、福祉分野等と連携し、福祉タクシー等を活用したドア・ツー・ドアによる移動の確保を進めていく。

福祉タクシー

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