平木家
指定保存建造物:平木家(ひらきけ)
所在地 | 金沢市菊川1丁目11番5号 |
---|---|
指定保存建造物 | 平成16年5月11日指定 |
平木家は金沢城の南、犀川右岸「旧上主馬町」に位置しています。この辺り一帯は、藩政時代足軽組地として330戸を超える大集団を形成した場所であり、金沢城下において代表的な居住地の一つでした。
この場所は足軽居住地の末端に位置し、敷地の形状が変則的です。特に敷地の奥行きが浅く、これは表の街路に対して裏手を流れる鞍月用水の経路に制約されているためで、敷地の奥行きが次第に用水によって狭められる地形に建物が配されています。一般的に、足軽屋敷は小頭、平者を問わず、玄関前に前庭がとられており、前面道路の境界から少なくとも1間半の奥行きに建物を後退して建てられていました。平木家の場合は、敷地の奥行きが限られているため、後退寸法は半間にも満たないことから、建物前面に玄関を設けることができず側面に設けられたものと思われます。現在、道路側にみられる入口は、玄関ではなく勝手口です。また、間取りも変則的となり、座敷を側庭に向けて配置されています。これは庭が側面にしかとることができなかったためと推測されます。
屋根は、当時木端葺きの石置き屋根で毎年葺き替えられていましたが、亜鉛鉄板に葺き替えられました。
平木家は、表(正面)からみて、足軽屋敷特有の典型的な平入りの屋根形式であり、木端葺き当時の緩い勾配も維持されています。また、敷地内には泉水の庭も残り、鞍月用水より水を引いています。敷地の制約上、建物の配置及び間取りは変則的ですが、当時の原型も大部分が残されおり、金沢市内におけるごく限られた足軽小頭屋敷の遺構として貴重な建物です。
