福久屋石黒傳六商店
指定保存建造物:福久屋石黒傳六商店(ふくひさやいしぐろでんろくしょうてん)
所在地 | 金沢市尾張町1丁目10番8号 |
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指定保存建造物 | 平成5年10月21日指定 |
石黒傳六家は、現当主で20代になるという古い名家で、7代目から代々傳六を襲名しています。家の建築年代は、普請帳から嘉永5年(1852年)と考えられます。
間口はもと13間で、左側7間が2階建て、右側6間が平屋の町家でしたが、大正15年、家の右側に西洋館を建てるときに右側3間が削られ、現在は間口10間です。表構えは低2階建てで、大屋根は腕木構造、2階壁面は白漆喰塗で塗りごめ虫籠(ムシコ)窓になっており、袖壁が付いています。
古い部分は、吹き抜けのある通り庭部分と、奥の仏間と座敷です。通り庭には今も古い竈、井戸、流しが残されています。座敷は長押を入れない簡素な造りですが、数寄屋の手法を取り入れ、洗練された味わいをもっています。
明治期の写真を見ると、1階は通り庭の半分の1間の大戸と店5間の蔀戸は開放され、間口全体に下がり(サガリ)がつけられ、その下にのれんが掛けられていました。右側6間は、屋根は1段低く平屋となり、大正末期に西洋館になった部分も含め、6間にわたって簀虫籠(スムシコ)でした。
石黒家は、改造は多いものの、建築年代のはっきりした大型の由緒ある名家であり、古い時代の良質な商家の竈、井戸、流しがそのまま残されているのは金沢で唯一と言ってもよく、高い価値があります。