旧佐野家住宅

指定保存建造物:旧佐野家住宅(きゅうさのけじゅうたく)

旧佐野家住宅の詳細
所在地 金沢市片町2丁目5番17号
指定保存建造物 平成22年4月21日指定/平成25年2月21日一部改正

佐野家住宅は、木倉町から中央通りにぬける通りに面して建っています。建物は戦前に金沢近郊で多くの農地を所有していた佐野家が本宅として大正5年に建築したものです。敷地は北西側が道路に面する土地で、建物は主屋と土蔵のほか、表門と築地塀を構えています。
主屋は切妻造桟瓦葺き、妻入りの木造2階建てで、大きな妻面は束、貫を表したアズマダチの意匠とし、壁には黒漆喰を塗っております。外壁は下見板張りとし、正面2階部分に間口5間をはかる出窓を設けてキムシコを付けています。
1階の特徴的部分として、表玄関を上がり廊下を挟んで広さ2畳ほどの明かり取りを設けています。また、その横から奥にある12畳半の座敷と5畳の通り間を挟んで洋室を設けており、建築当時、洋室は座敷から見る芸伎などの踊りの舞台として使用されていたと言われています。ダイドコロの板の間部分にはイロリが残り、その床下にはハシゴで降りる深いムロがあります。また土間部分には流しと井戸が残っています。
2階は、部屋のほとんどが座敷の構えですが、特に広縁に面する10畳座敷は8畳座敷との間に雪景色の松を大胆に描いた襖を入れています。広縁の幅は1間で、現在駐車場となっている隣地に設けられていた庭園を見下ろす絶好の位置に廻っています。
佐野家住宅は近代における資産家が本宅として自分の嗜好に合わせて建築した点が特徴的で、金沢において大正、昭和の激動の時代を過ごした一資産家の生活を垣間見ることができます。また、現在の飲食店ビルや路外駐車場の多い商業地域のまちなみの中で、大正期からその姿をほとんど変えず現在地に建つ規模の大きな近代和風建築であり、表門と築地塀を構え、土蔵を備えた建ちの高いアズマダチの外観は、周辺が藩政期に武士居住地であったことを想像させます。

木造2階建ての建物が2棟並び、右側が黒漆喰を塗った壁の建物、左が白い外壁の建物の下見板張りの旧佐野家住宅の写真

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