旧かみや主屋・土蔵

有形文化財 建造物
旧かみや主屋・土蔵(きゅうかみやしゅおく・どぞう)

旧かみや主屋・土蔵の詳細
所在地 金沢市東山1丁目709番(住居表示 東山1丁目26番17号)
市指定文化財 【市指定文化財】平成24年3月12日指定

旧かみや主屋・土蔵は、東山ひがし重要伝統的建造物群保存地区(ひがし茶屋街)内に位置し、建築年代は明治六年(1873年)頃とされます。主屋は二番丁の通りに面して建ち、土蔵は主屋の奥に位置し、二番丁と三番丁を結ぶ脇道に面し建っています。主屋は木造二階建て一部三階建て瓦葺で、正面は、一階に出格子と玄関、二階は雨戸と戸袋を備え、階高は高く、ともに短い庇を設けています。間取りは、一階は正面より玄関、店の間、茶の間、中の間、奥の間が続き、二階は、前座敷、階段の間、奥座敷、離れなどを設けています。間取りの特徴的な点として、お客を二階奥の離れに案内する際、二階中ほどに位置する座敷を通さずに案内するために設けられた一階の廊下や、狭いながらも中庭をL字型に設けることで、一階奥の間・二階座敷の採光を二面から取り入れることができるなど、各部屋の配置に工夫が見られます。意匠面では、玄関の腰壁に張られた船板、店の間の大きな下地窓、各部屋では壁土の色を変え、襖の引手や長押の釘隠の意匠も変化に富んでいます。
土蔵は二階建て、屋根は置き屋根形式で、外観は基部を戸室石の切石積み、腰壁は薄青色の凝灰岩系の石張りとし、上部は白漆喰壁で仕上げられています。また窓には風雨より保護するための霧除を付けるなど、金沢で多く見られる典型的な土蔵造りの形式を踏襲しています。
このように旧かみやは、ひがし茶屋街の往時の華やかさを今に伝える茶屋建築として、典型的な外観と間取りを良く残し、明治初期の茶屋建築の形式を示す一つの指標となる貴重な建物です。また、この建物は店舗として活用するため、平成23年に改修工事が行われました。改修工事では、老朽化した部材を修理すると同時に、一階の床組を残して既存の床の上に新たに板を張り、土足による破損を防止する措置をとり、襖や障子は敷居とともに土蔵の二階で保管し、旧状に復元することを可能としています。このような方法は、木造建築の文化財的価値を損なうことなく、保存と活用を両立させる取組みの事例としても評価されています。

一階に出格子と玄関、二階は雨戸と戸袋を備えた茶色を基調とした建物旧かみや主屋の外観写真

主屋

白い壁の二階建て、窓の上に霧除が設置された旧かみや土蔵の外観写真

土蔵

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