如来寺本堂

有形文化財 建造物
如来寺本堂(にょらいじほんどう)

如来寺本堂の詳細
所在地 金沢市小立野5丁目1番15号 如来寺 地図など(金沢市観光協会)
市指定文化財 【市指定文化財】平成21年12月11日指定

如来寺は浄土宗の寺院で竜宝山と号します。加能寺社由来によると、天正元年(1573年)岌台文公(きゅうだいぶんこう)上人が越中増山に創建したことにはじまります。前田利家に従い高岡に移った後金沢に移り、当初は卯辰山に所在しました。元和2年(1616年)、3代藩主利常は、正室の珠姫が祖父徳川家康の位牌を当寺に祀ったことから、寛永11年(1634)に霊屋を建立しその位牌を安置しました。寛文2年(1662年)に寺地を小立野台に移し、5代藩主綱紀が生母清泰院(せいたいいん:徳川光圀の姉)の位牌所としたことから、以後、徳川家の家系に属する前田家の位牌所として確立しました。寺格も加越能3国の触頭(ふれがしら)として寺地・規模を拡大し大いに威勢を振いましたが、享保3年(1718年)に罹災し伽藍を失いました。現在の本堂は、その後再建されたものです。
本堂は、正面桁行柱間9間・梁行柱間9間、入母屋造平入、桟瓦葺きで、正面中央に向唐破風(むかいからはふ)造の向拝(こうはい)を付けています。小屋組に箱だけが残り棟札はありませんが、構造形態や細部様式から、寺伝に伽藍再興とある文化10年(1813年)頃の建立と推定されます。本堂平面は、六間取りを基本として、正面と側面に柱間1間の広縁(ひろえん)を設けて取り込んでいます。正面広縁の幅は側面より広くとられています。側廻りは、2本の飛貫(ひぬき)と内法貫(うちのりぬき)・腰貫(こしぬき)を通し、腰には胴縁(どうぶち)を入れ、内法長押(なげし)・腰長押・地長押で固めています。柱間には花頭窓(かとうまど)と窓を各間交互に配しています。向拝は奥行2間半のうち、2間分に低い床を張り、上部は格天井となっています。外陣(げじん)は奥行柱間3間で、脇の間の虹梁(こうりょう)型飛貫と頭貫(かしらぬき)の間には三葉葵紋の彫刻が置かれています。天井は格(ごう)天井となっています。内陣(ないじん)は奥行柱間2間で、来迎柱は3.95尺後退しています。天井は折上げ小組(こぐみ)格天井で、須弥壇・厨子上では二重に折上げられています。
如来寺本堂は、内部空間の立ちが高く、江戸時代後期の浄土宗本堂の発達した典型的な姿を示しており、広大な空間を有しています。また、大規模な修理を受けておらず、再建当初の姿をよくとどめており、金沢における江戸後期の寺院建築の遺構として重要な価値が認められます。

左側:境内に樹木が生い茂っており、大きな桟瓦葺き屋根作られた如来寺本堂の外観の写真、右側:広い和室の天井から天蓋が吊り下げられており、奥に仏壇がある如来寺本堂内部の写真

本堂外観、本堂内部

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