紙本著色蓮湖真景之図
有形文化財 美術工芸品:絵画
紙本著色蓮湖真景之図(しほんちゃくしょくれんこしんけいのず)
所在地 | 金沢市大野町 個人蔵 |
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市指定文化財 | 平成2年4月11日指定 |
蓮湖とは河北潟の別名です。この絵は、加賀藩お抱え絵師佐々木泉玄により文久元年(1861年)に描かれた、大野川を中心に河北潟と周囲の山々を遠望した長尺2巻の絵巻物です。
西岸図は、縦29.5センチメートル・横657.8センチメートルで、内日角(宇ノ気町)から大野川の流れに沿って初秋の村々を大野村まで描いています。東岸図は縦29.5センチメートル・横657.7センチメートルで、日本海にそそぐ河口から、向かって沿岸の村々や、白山、医王山、宝達山などの遠望がおさめられています。大野川にかかる機具橋、新川橋、大野港橋の3橋、行き交う舟の賑わい、河北潟の代表的な漁法である巻き打ち投網の状況、橋の上の漁村の女達、村の家などが細かく描いており、大野の御台場もしるされています。これら当時の農業村の風景、風俗を繊細に描写した点に特色があります。
すべて現地で実際に写生したものと考えられおり、絵は淡い色調をもって整えられ、余白に蒔かれた金砂子も画面を引き立てています。写実性、装飾性を備えた作品で、加賀狩野派の筆法を顕著にあらわした作でもあり、佐々木泉玄の優れた技法を知ることができます。また、当時の地理、風俗を知る上でも貴重なものです。

湖真景之図 東

湖真景之図 西