紙本著色双鶏図衝立
有形文化財 美術工芸品:絵画
紙本著色双鶏図衝立(しほんちゃくしょくそうけいずついたて)
所在地 | 金沢市里見町 個人蔵 |
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市指定文化財 | 昭和53年4月11日指定 |
この絵は加賀藩のお抱え絵師佐々木泉景の代表作の一つです。 縦126.5センチメートル・横126.5センチメートルで、製作年代は江戸時代の後期頃と推定されています。
中央に立つ軍鶏は、その勇姿を表すかのように形を整え、片足を揚げ、顔を振り向けて後ろの雌鳥をいつくしんでいます。それらの様子を的確にとらえ、よくその動作を表現しています。描法も新味を加え、練達した細線で精密に仕上げ、また著色も温雅で品格を備えた画面となっています。筆者の独創的な製作態度が十分表現された貴重な作品といえます。裏面は、金の砂子地に著色で秋草を描いた図柄で、萩を主題に葛の花、竜胆、桔梗、黄葵、薄、女郎花、野菊をあしらって画面をまとめ、装飾的に仕上げています。
佐々木泉景は江沼郡大聖寺(現加賀市)に生まれ、通称熊次郎、守継・彩雲と号しました。京都に登り石田幽汀について画法を学び、のち法眼鶴沢探索の門人となりました。1801年(享和元年)、師の探索が禁裏御用の命を受け、師に従い法橋に叙せられ、のち、加賀藩に招かれて金沢に居住しました。1821年(文政4年)法眼にすすみ、1847年(弘化4年)医師格をもって遇せられました。狩野派風の筆致の中にも、精密な描写に基づく草花、花鳥画に優品があります。
