紙本著色辰巳用水絵巻
有形文化財 美術工芸品:歴史資料
紙本著色辰巳用水絵巻(しほんちゃくしょくたつみようすいえまき)
所在地 | 金沢市玉川町2番20号 金沢市立玉川図書館 |
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市指定文化財 | 平成21年10月1日 |
辰巳用水は、江戸時代初めの寛永(かんえい)年間に犀川上流から金沢城へ水を引いた用水で、平成22年2月22日に国指定史跡になっています。
本資料は、江戸時代の辰巳用水を具体的に描いた彩色絵巻で、23枚の和紙を継いだものです。江戸時代の辰巳用水図は、文化6年(1809年)の辰巳用水絵図、天保5年(1834年)の県指定有形文化財「紙本著色辰巳用水絵図」、安政2年(1855年)の東岩(ひがしいわ)取水口絵図がありますが、流域全体を描いたものは文化図、天保図と本資料のみとなっています。
絵巻の画面には取水口から現在の兼六園小立野口付近に至るまでの辰巳用水の流路と沿線の景観が描かれています。上流部に多い隧道(ずいどう・トンネル)部分は、壁面から外部に開口している横穴として表現され、隧道区間・開渠(かいきょ)区間には、各部の長さが記述されています。
製作年代は記されていませんが、描写内容からは、江戸後期(19世紀)の辰巳用水の景観を描いたものであると考えられます。
第六紙と第七紙との間に描写の断絶があり、また、第二紙以降の下部画面についても欠けていますが、藩政期の辰巳用水の流路の変遷を知る上で欠かせない、貴重な資料となっています。

紙本著色辰巳用水絵巻 巻頭部