絹本著色鶉図

有形文化財 美術工芸品:絵画
絹本著色鶉図(けんぽんちゃくしょくうずらず)

絹本著色鶉図の詳細
所在地 金沢市本多町3丁目2番29号 金沢市立中村記念美術館
市指定文化財 平成23年1月11日指定
上:絹本著色鶉図の掛け軸全体を写した写真、下:掛け軸に描かれている二羽の鶉の写真

画面縦24.0センチメートル×横23.1センチメートル、全体縦115.5センチメートル×横47.6センチメートルの絹本著色の1幅です。
この鶉図の作者と伝えられる李安忠(りあんちゅう、生没年不詳)は、中国北宋代から南宋代にかけて宮廷画院に使えた画家です。花鳥走獣画の名手と伝えられ、特に小動物の一瞬の動き捉えて描写することに巧みであったといわれ、日本では古来、鶉の名手として著名です。
この鶉図は、土坡の上の草叢にたたずむ二羽の鶉を、露草を背景に描いた作です。二羽の鶉のうち画面の中心に描かれた鶉は背を丸めて胸の羽毛に嘴を当て、右の鶉は何かの異変に気付いて上を向いています。このように二羽の鶉の一瞬の動きを巧みに捉え、対照的な姿勢で配置したところや、胸の白い羽毛の柔らかい質感をはじめ、細密描写が徹底したところに、院体画独特の緊張感と厳粛な雰囲気を見ることができます。
この鶉図が加賀藩主前田家の所蔵となった経緯は不明ですが、前田家独特の様式の溜塗(ためぬり)内箱に狩野探幽(1602年~1674年)の箱書があることから、探幽の活躍期にはすでに前田家に在ったことが裏付けられます。弘化2~3年(1845年~46年)の『表御納戸御道具目録帳』(前田家蔵帳)に記載があり、表装や箱の現状がその記載とよく一致していています。
南宋代の院体花鳥画の秀作として美術的価値が高く、茶道具としては、大名家の茶道における唐物重視の歴史を伝え、加賀藩主前田家ならではの茶道具収集の水準の高さを示しており、金沢に長く伝来した茶道具の名品として高い価値が認められます。

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