金沢箔

金沢には、風土や地域(ちいき)の特色を生かした産業があります。

職人が箔うつしを行っている手元の写真

箔打ち(はくうち)は、10円硬貨(こうか)ほどの大きさの金合金をたたいて、たたみ2枚(まい)分くらいの大きさにまでのばして、金箔(きんぱく)を作る作業です。うすくのばされた金箔は、工芸品や織物(おりもの)、仏像(ぶつぞう)・仏具、食器、建築(けんちく)物などに使われています。

加賀藩(かがはん)の時代、江戸(えど)や京都以外で箔を作ることは禁止されていましたが、加賀藩では、藩の工芸振興(しんこう)のためにかくれて金箔の生産を行っていたともいわれています。また、金沢の気候・水質(すいしつ)・風土が金箔を作るのに適していたことが、金沢箔を発展(はってん)させました。他の地域の箔産業(さんぎょう)は衰退(すいたい)しましたが、金沢の箔産業は現在(げんざい)まで引きつがれています。

第1次世界大戦中、ドイツが金箔を供給(きょうきゅう)することができなくなったときに、金沢が金箔を輸出(ゆしゅつ)したことで、金沢箔が世界的に有名になりました。金箔の需要(じゅよう)が高くなり、それまで手作業だった箔打ちが機械化されました。第2次世界大戦で金属(きんぞく)が自由に使えなくなったため、業界は一時衰退(すいたい)しましたが、戦争後にはふたたびさかんになってきました。

現在では、金沢箔は全国の金箔生産量の100%近くをしめています。また、その副産物として生まれる“あぶらとり紙”なども有名です。

金沢市東山(ひがしやま)の「安江金箔工芸館」では、金箔をふんだんに使った美しい工芸品を見ることができます。「四季展(てん)」では、その季節にゆかりの深いものを展示(てんじ)しています。

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