金沢駅東広場
もてなしドーム~思いやりの動線のシンボル~
もてなしドーム(正面から)
もてなしドーム(内部から)
金沢は年間降雨日数が半年にも及び、45万人を超える人口高密度都市として世界でも有数の多雨多雪都市であります。大屋根は、この気候風土に対し、人々が集う広場の上に傘を差し出すような「もてなしの心・思いやりの動線」を表現したものです。
もてなしドームの形
もてなしドームは、半径90メートルの巨大な球の一部を広場中央の歩行者空間の形に合わせ、ちょうど三味線のバチの形に切り出した形状をしています。屋根や壁の上部はガラスで覆われていますが、足下は開放されていて、防風板の間からバスやタクシーに乗降できます。
架構と素材
- ドームの構造は、耐久性、メンテナンス性などに配慮してアルミ合金を構造材とし、安全性や省資源を考慮して張弦材ハイブリッド立体トラス構造を採用しています。この構造の特徴は、屋根だけではなく壁面にまで立体トラスを採用していること、構造材としてアルミ合金を採用していることです。
- 明るい駅前広場を実現するために、ドームの仕上げは全てガラスです。屋根と壁をあわせて全部で3,019枚の強化ガラスが使われています。このガラスは180センチメートルの積雪にも耐える強度をもっています。
鼓門~金沢の伝統を凝縮~
駅東広場のデザインは機能美・技術美を基本として、時代の最先端の技術を用い新しい伝統を造り上げています。その中で鼓門は、直接的に伝統を感じることのできる木造とし、金沢の伝統芸能の能や素囃子などで使用される鼓の胴にある「調べ緒」をモチーフにデザインをしています。都市の門として歴史のまち金沢の格調を伝えるとともに、大屋根の雪受け、地下広場の排気塔、大屋根雨水のパイプスペースなどの役割も果たします。
構造形式は、大断面で斜めに傾けた柱を楕円状に2重に配置した組柱を2つ並べて、その上に格天井の屋根をのせた構成になっており、屋根は大屋根からの落雪を受け止める形をそのまま造形化しています。