旧森忠商店
指定保存建造物:旧森忠商店(きゅうもりちゅうしょうてん)
所在地 | 金沢市尾張町2丁目11番24号 |
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指定保存建造物 | 令和4年4月21日指定 |
旧森忠商店が位置する尾張町は、藩政期より金沢を代表する町人地であり、近代以降も金沢の商業の中心地として栄えてきました。森忠商店は、天保13年(1842)の創業で、加賀藩御細工所の御用漆を取り扱った江戸時代から続く老舗です。
建物の建築年代は大正7年(1918)で、翌年には市街電車開業に伴う前面道路の拡張工事が行われています。
木造3階建、間口8間の大型町家で、2階外観正面は、黒漆喰塗りの塗屋造(ぬりやづくり)とし、鉄格子を嵌めた6間通しの虫籠窓(むしこまど)を設けています。特に目を引くのは、屋根中央にそびえ立つ方形屋根の大きな望楼で、近代金沢の大型町家に見られる特徴のひとつです。そのほか、軒先の装飾的な雪止めの鉄柵など、今では貴重な意匠を見ることができます。内部では、店の間の八角形の天井飾りや旧洋間の装飾的な金属天井など、当時の最先端の意匠や技術が伝統的な意匠とともに用いられており、施主の好みを感じさせます。
重厚かつ伝統的な外観は、尾張町界隈において圧倒的な存在感を放ち、当時の市街電車開業に伴う再建は、城下町金沢の都市構造の変遷の歴史を示すものであり、旧森忠商店は、尾張町の歴史的街路空間を語る上で欠かせない歴史的建造物です。