旧川縁米穀店

指定保存建造物:旧川縁米穀店(きゅうかわべりべいこくてん)

旧川縁米穀店の詳細
所在地 金沢市茨木町53
指定保存建造物 平成元年4月11日指定/平成25年2月21日一部改正

この建物は、藩政時代に大工が自宅として建てたものと伝えられており、その子孫が大正期まで飴屋を営んでいたといわれています。しもた家となった建物を、昭和5年(1930)に当時鱗町で米穀商を営んでいた川縁家先代が購入して店を構えました。
建物は、木造2階建て桟瓦葺きで、間口は5間半です。表構えは、向かって左、1階3間の各柱間に蔀戸(しとみど)を入れ、玄関を挟んで、1間と半間の各柱間には荒格子を付けています。また、瓦葺きの正面庇にはサガリが付いています。向かって左、2階4間の柱間にガラス窓と荒格子が交互に付き、残り1間が荒格子、半間部分は漆喰壁となっており、2階の両端には袖壁(そでかべ)が付いています。さらに、幅2間でガラス窓を付けた大きな天窓が屋根から突出しており、この建物の大きな特徴となっています。
1階平面は、道路側から店、茶の間、奥の間が続いています。中でも茶の間の上部は、天窓までの吹き抜けになっており、下から見上げる構造部材で組まれた空間構成は圧巻です。吹き抜け2階部分には吊り廊下も張り出しており、空間に変化を与えています。2階平面は、吹き抜け空間を境として前後に居室があります。後部に位置する居室は、10帖の座敷と6帖の茶室で、数寄屋風の座敷の壁は弁柄壁となっています。
建物の各所に様々な痕跡が認められ、さまざまな改造をされてきたことがわかります。例えば、正面1階の柱間は右端の半間を除いて全て蔀戸が入っていたと思われます。また、吹き抜けの吊り廊下も当初はなかったようで、2階茶室部分も小屋梁の状態から、当初は違う空間であった可能性が高いと思われます。珍しいものとして、茶の間の差鴨居にガス灯器具が取り付けられたままになっています。この建物は、近世から近代、現代へと移り変わる金沢城下の庶民の暮らしを、具体的に見せてくれる建物であるといえます。
現在、金澤町屋情報館として、活用されています。

木造2階建ての真壁造りの大屋根での上に大きな天窓のある、旧川縁米穀店の写真

旧川縁米穀店外観

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