旧石川県警察本部長公舎

もと金沢市役所裏にあった石川県警察本部長公舎を、昭和57年（1982年）、現在地（金沢美術工芸大学敷地内）に移築したものです。
現在の建物は、玄関を入って左手は洋館で、書生室、書斎、応接室の3室を持ちます。右手は伝統的な和風建築で、広い台所と茶の間、次の間、客間が配されています。この部分は武家住宅が原型で、3室2列構成であったものが、移築に際して中央の2室が割愛されています。
外壁は、和風部分が押縁下見板張り、洋館部分が南京下見板張りで、全体を大屋根で取り込むことにより、異風様式の調和が充分に図られています。外観から和洋のアンバランスや威圧感は殆ど感じられません。
和風部分の内部意匠は、床の間、付書院、欄間などいずれも伝統的手法で簡潔にまとめられています。洋館部分では応接室の暖炉のデザインが秀逸です。
明治中・後期に流行した「和洋2館型邸宅」の趣をよく残しており、また、当時全国的に建設された地方高級官吏の官舎としての威厳ある風格を表しています。