旧中や

有形文化財 建造物
旧中や (きゅうなかや)

旧中やの詳細
所在地 金沢市東山1丁目410番
市指定文化財 平成30年10月1日指定

 旧中やは、ひがし茶屋街三番丁の通りに建つ茶屋町創立当初の茶屋建築です。
木造2階建、切妻造平入、桟瓦葺、間口3間、奥行10間の規模で中庭を配して敷地いっぱいに建ちます。ひがし茶屋街は一番丁から四番丁の通りからなりますが、茶屋町創立期の絵図を見ると、通りによって建物の規模や造りが異なり、三番丁は間口3間の規模が最も多いことが分かり、旧中やは、三番丁の通りに建つお茶屋の典型的な規模を示しています。
 外観は、1階では玄関に大戸を設けて出格子形式とし、出格子の腰には笏谷石を用い、格子は割りの細かなキムスコを設け、2階は背が高く、雨戸を並べ戸袋を設けた茶屋建築独特の意匠が見られます。内部は1階にみせの間や茶の間、台所など、女将や芸妓が使用する私的な空間とし、2階は前2階やひろま、はなれを座敷として、全ての空間が接客空間であり、弁柄壁や群青壁の鮮やかな壁の色で、お茶屋特有の粋な空間を演出しています。
 また、茶屋町の創立と廃止、再公許が建物にどのような変化をもたらしたかを推測させる2階正面柱の痕跡や、明治期に定められた規則に伴い、幅の広い勾配の緩やかなものに改められた茶の間の階段、近代以降に増築された見応えある近代和風建築のはなれなど、建築当初から現在に至るまでの建物の様々な変化を読み取ることができます。
 茶屋町創立当初は「中や」、慶応3年(1867年)には「越か祢」、明治中期には「しおや」、昭和前期には「玉ひさ」と屋号を変えながら、創立期から昭和50年代までお茶屋として営まれてきた建物であり、現在は公開施設として活用されています。ひがし茶屋街の歴史を物語る建物として大変貴重な建物です。

1階は大戸を設けた玄関と出格子、2階には戸袋が設けてあり、大きな提灯がかけられている旧中やの外観写真

外観

壁が青色で、床の間に掛け軸が2つと花が飾られている離れ座敷室内の写真

離れ座敷

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