大野湊神社旧拝殿

有形文化財 建造物
大野湊神社旧拝殿(おおのみなとじんじゃきゅうはいでん)

大野湊神社旧拝殿の詳細
所在地 金沢市寺中町ハ163
市指定文化財 平成11年4月30日指定

大野湊神社は近世金沢城下町の外港として栄えた加賀宮腰の氏神で、石川郡大野荘惣鎮守の由緒をもつ古社でもあります。現在の拝殿は近年の造立ですが、旧拝殿は昭和10年に現拝殿の前方に移築されており、本殿の規模(本殿は横に三殿が並ぶ)に合わせた横長の建物です。旧拝殿は正面桁行柱間七間、梁行柱間四間の規模で、入母屋造り・浅瓦葺き・平入りです。正面中央には向拝一間をつけ木階三級を据え、正面・側面には縁を廻しています。
向拝では面取角柱をたて虹梁形頭貫を渡し根肘木で受け、組物は連三斗・実肘木としています。中備は板蛙股に彫刻を施し一部くり抜いたもので、表裏で彫刻を入れ実肘木をいれ、身舎とは虹梁で結び、身舎側でも根肘木で受けています。身舎柱上には舟肘木を置き、身舎正面では中央柱間に格子戸四枚を装置し、そのほかの柱間では蔀戸を吊っています。両側面では前方柱間二間に蔀戸、奥の二間は板壁、内部では中央柱間に框を入れ、方立で三区にわかち両折桟唐戸を装置し、その両脇間では板扉を入れています。外側の各二間は板扉を吊っています。殿内は現在、前後に二分するように柱が立っていますが、建具を入れず解放しています。後半部分は区切った様相を示しており、軒は一軒疎垂木で桟瓦を葺き、妻組は扠首組で拝みに懸魚を打っています。屋根根は一軒疎垂木であることから、もとはこけら葺であったと思われます。
以上のような拝殿ですが、復元して得られる平面には非常に特徴があり、このような構成の拝殿がどのように使用されたかは興味深いものがあります。大和の大神神社拝殿(重要文化財)の平面形態と類似しており、建立年代も「加越能寺社由来」に載る寛文3年(1663年)とあり、様式的にみて妥当と思われます。

木々が周りに植えられている中に建っている横長で注連縄が飾られている大野湊神社旧拝殿の外観写真

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