西養寺本堂・鐘楼

有形文化財 建造物
西養寺本堂・鐘楼(さいようじほんどう・しゅろう)

西養寺本堂・鐘楼の詳細
所在地 金沢市東山2丁目11番35号 西養寺
市指定文化財 平成17年4月11日指定

 西養寺は天台宗寺院で、もと天台宗真盛派5ヵ寺の一つで開山は盛学です。7代目住職真運の時に、府中に在城していた後の加賀藩主前田利家が参詣し帰依しました。2代藩主利長もまた度々参詣し、真運への信望が厚く、利長が越中の守山、富山、高岡と移住した際には、追従して移転しました。慶長7年(1602年)には、八坂町(東兼六町)の地を拝領したが、慶長17年(1612年)に、眺望絶景の当地に移転しました。
 本堂は、正面梁行柱間7間(実長9間)・桁行柱間8間(実長9間)の規模です。建立年代は、小屋裏に残る棟札から、天明3年(1783年)と判明し、正面の向唐破風造の向拝虹梁に見られる細部様式も、その時代の特徴を表しています。また屋根は、小屋裏の痕跡から、もとは切妻造妻入であったことが推測されます。現在見られる、切妻屋根を基本として前庇を付け加えたような変則的な入母屋造妻入屋根は、金沢の本堂建築における屋根形態の変化を知るうえで貴重なものです。
 鐘楼は、入母屋造・桟瓦葺の屋根で、戸室石の基壇に建っています。高台に位置する境内から、鐘の音が卯辰山山麓の町場によく響き渡ったものと思われます。建立年代は、棟札より嘉永4年(1851年)であることが判明しています。また、棟札には「入唐大工 山上全之輔吉敏」と書かれており、建仁寺流の山上性を名乗る大工の作品であることが分かります。粽付きの円柱を内転びに建て、その頂部に台輪を廻し、二手先の組物をすえ、垂木は放射状に配した扇垂木とするなど、禅宗様の特徴が数多く見られます。
 西養寺本堂及び鐘楼は、天台宗寺院の近世の遺構として、市内では数少ないものであり、いずれも棟札により建立年代が判明する貴重な建物です。また、卯辰山麓寺院群の中でも、境内の歴史的な景観がよく保たれており、江戸時代の雰囲気を感じることができます。

樹木の生い茂った中に建っている入母屋造妻入屋根の西養寺本堂の外観写真

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