金沢市無量寺B遺跡出土金属製品一括
有形文化財 美術工芸品:考古資料
金沢市無量寺(むりょうじ)B遺跡出土金属製品一括
出土 | 金沢市無量寺B遺跡 |
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所在地 | 金沢市上安原南60番地 金沢市埋蔵文化財センター |
市指定文化財 | 平成19年3月12日指定 |
員数 | 3点 内訳:懸垂鏡1点、銅鏃2点 |
無量寺B遺跡は、金沢市北西部の沖積平野に立地する、弥生時代中期から古墳時代前期にかけての集落遺跡です。
鏡(長辺約4センチ、短辺約2.8センチ、厚さ約0.2センチ、重さ約10グラム)は、弥生時代終末頃の溝から出土しました。意図的に割られ、孔が2個開けられていることから、ペンダントのように首にかけた懸垂鏡(けんすいきょう)として使われたと考えられます。もとは後漢代(紀元25年から220年)の双頭龍(鳳)文鏡(そうとうりゅう(ほう)もんきょう)で、西暦2世紀前半代に製作されたと考えられます。
銅鏃(どうぞく)は2点出土しています。A(長さ約3.9センチ、幅約1.5センチ、厚約0.2センチ、重さ約2.3グラム)は、基部が内に深く入って鋭いかえしが付き、薄い鏃身(ぞくしん)中心の鎬(しのぎ)はわずかに盛り上がっています。B(長さ約3.9センチ、幅約0.9センチ、厚約0.3センチ、重さ約4グラム)は、細い棒状で、中央部が厚く緩やかにふくらんでいます。A・B共に、弥生時代終末までに製作されたと考えられます。
弥生時代の懸垂鏡は、権威の象徴として使用されていました。この鏡は、西日本を中心とする分布圏の東端での出土にあたることから、当時の装飾(そうしょく)・祭祀(さいし)・交流(こうりゅう)を知ることができ、双頭龍(鳳)文鏡の希少例として高い学術的価値を有しています。また、銅鏃は弥生時代の北陸における金属製武器の普及を考える上で貴重な資料といえます。
銅鏃(A,B)
懸垂鏡 双頭龍(鳳)文鏡