(県指定)西念・南新保遺跡出土品

有形文化財 美術工芸品:考古資料
西念・南新保遺跡出土品(さいねん・みなみしんぼいせきしゅつどひん)

西念・南新保遺跡出土品の詳細
出土 金沢市西念・南新保遺跡
所在地 金沢市上安原南60番地 金沢市埋蔵文化財センター
金沢市新保本5丁目48番地 金沢市埋蔵文化財収蔵庫
指定種別 石川県指定文化財 有形文化財-美術工芸品-考古資料
指定年月日 令和3年12月24日指定
員数 660点

   西念・南新保遺跡は、金沢市の北西部、犀川と浅野川の中間点に位置し、これらの河川によって形成された緩やかで湿潤な沖積平野の微高地に立地します。周辺には数多くの遺跡が立地し、縄文時代から現在に至るまで多くの人々が生活を営んできました。遺跡は昭和55年度から平成元年度にかけて金沢市が発掘調査を実施し、弥生時代から古墳時代が集落、奈良・平安時代が荘園となり、その後15世紀まで断続的に存在したことが確認されました。指定対象となる弥生時代の遺物が出土した主な遺構には竪穴建物・平地建物・掘立柱建物などの建物跡、井戸跡、方形周溝墓・土坑墓などがあり、農耕を生業とした加賀北部の中核的な集落と位置づけられています。
   指定された出土品は、土器類442点、木器62点、石器85点、金属器11点の合計600点です。このうち土器には、壺、甕、鉢、高杯、器台、蓋等があり、良好な保存状態で出土していることから資料的価値が高く、弥生時代中期後半から後期(紀元前1世紀から後2世紀)にかけての基準資料として高く評価されています。また、「鹿」や「建物」を描いたと見られる絵画土器は、いずれも豊作を願う弥生時代の人々の願いが込められたものと考えられており、当時の精神生活の一端を示す貴重な資料です。
   木製品には、農具、容器、楽器、祭祀具、紡織具、武器などの多種多様な道具があり、当時の木工技術の高さを示しています。農具では鍬、鋤、竪杵等、容器では桶形容器、高杯等があり、中でも高杯は、杯部外面に六葉の浮き彫りを施し、全体を赤彩した後に杯部内面に黒漆を施した精巧品で、本遺跡出土品のなかでも白眉といえる逸品です。加えて、鳥取県青谷上寺地遺跡からも酷似した資料が出土しており、本遺跡への搬入品もしくは山陰の工人が当地で製作したものと考えられ、いずれにしても日本海を通じた交流を示す重要な資料です。楽器では槽作りと板作りの2種類の琴があり、いずれも石川県内では初めての出土例です。祭祀具では楯形の装飾板、舟形、武器形等があり、楯形の装飾板に刻まれた精巧な連続渦巻文は銅鐸などの農耕祭祀具に見られる文様の代表として知られています。これらの他に紡織具や武器等があります。
   石器には、農具・工具では石鍬、石包丁、石斧等、武器では石鏃、石剣等があります。金属器には、工具類では鉄製ヤリガンナ(木製品の表面を調整する工具)、ノミ等が、祭祀具では小型国産鏡(重圏文鏡)、武器類では銅鏃、鉄剣等があり、当遺跡は弥生時代に貴重であった金属製品を所有できた有力な集落であったと考えられます。また、装身具としては、石製の勾玉・管玉やガラス製の小玉等があり、前者については未成品や材料となる緑色凝灰岩の原石が出土しており、当遺跡で製作されていたものと考えられます。
   以上の多種多様な出土品は、北陸の弥生時代中期から後期にかけての生活・技術・交流・文化をよく知ることができる代表的な考古資料であり、これらが総合的に評価されて石川県指定有形文化財に指定され、その保存・継承および活用が行われています。
   なお、出土品の一部は金沢縄文ワールド及び金沢市埋蔵文化財収蔵庫で展示公開されています。

土器

土器

絵画土器(鹿?)

絵画土器(鹿?)

木製高杯

木製高杯

大型の桶

大型の桶

小型の桶

小型の桶

琴(板作り)

琴(板作り)

盾形装飾板(連弧渦巻文)

盾形装飾板(連弧渦巻文)

重圏文鏡

重圏文鏡

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