千石谷十七日講関係資料

有形文化財 美術工芸品:歴史資料
千石谷十七日講関係資料(せんごくだにじゅうしちにちこうかんけいしりょう)

千石谷十七日講関係資料の詳細
所在地 金沢市上平町
市指定文化財 平成21年12月11日

金沢市森本地区山間部の「千石谷七ヵ村」と通称される市内北千石町、南千石町、琴(こと)町、琴坂(ことさか町、上平(うわだいら)町、中尾(なかお)町、滝下(たきした)町に居住する真宗大谷派(しんしゅうおおたには)門徒の講組織に伝来し、月毎に七ヵ村を巡回して開催される講の仏教儀礼に際し、礼拝・拝読されてきたものです。
資料の内訳は、戦国時代中期から江戸時代中期に、本願寺・東本願寺の宗主(しゅうしゅ)が、加賀国河北郡の山四番組の十七日講中に発した御消息(御書)と、講会の毎に掲げられ礼拝の対象とされた延宝8年(1680年)4月の東本願寺前住常如(じょうにょ)の裏書をもつ蓮如影像および成立年次未詳の九字名号(「南無不可思議光如来(なむふかしぎこうにょらい)」)、十字名号(「帰命尽十方無碍光如来(きみょうじんじっぽうむげこうにょらい)」)の書跡となっています。
御消息のうちで最も古いものは、「(河北郡)四番組十七日講中」に充てた十月七日付の本願寺10代証如(しょうにょ)消息で、懇志に対する請取状です。証如の日記(『天文(てんぶん)日記』)の天文5年(1536年)10月7日条には、そのことが記されており、石川県内にのこる数少ない証如消息の正文(しょうもん)であることと併せて希有な事例となっています。
本資料群によって、一番組から五番組に地域編成されていた、戦国期加賀国河北郡内の本願寺門徒組織の中で、越中国境に近い山間部の千石谷地域が、「(山)四番組」に属していたことが明らかとなりました。さらにその組内における真宗門徒の講組織(十七日講中)が、戦国期から江戸期を経て現在に至るまで、長年にわたり地域の信仰的伝統を守り続けていたことが、本資料の存在によって確認できたことは、極めて重要であるといえます。
このように千石谷十七日講関係資料は、加賀一向一揆並びに真宗信仰の歴史を語る貴重な文化財となっています。

【用語解説】

  • 御消息…宗主から門徒に宛てられた書面で、懇志(こんし)の請取の礼や法義(ほうぎ)のたしなみを伝える内容となっている。
  • 懇志…門徒が真宗の道場や寺に金銭や米などのものを差し上げること。また、そのものをいう場合もある。
上:茶色く変色した横長の紙に筆で文字が書かれている証如消息 絹本著色蓮如影像 紙本墨書九字名号の写真、左下:着物を着て袈裟を身につけ座っている蓮如影像が描かれた掛け軸の写真、右下:筆で「南無不可思議光如来」と書かれた掛け軸の写真

この記事に関するお問い合わせ先

文化財保護課
郵便番号:920-8577
住所:金沢市広坂1丁目1番1号
電話番号:076-220-2469
ファックス番号:076-224-5046
お問い合わせフォーム