共筒茶杓(本多安房守宛贈筒)

有形文化財 美術工芸品:工芸品
共筒茶杓(本多安房守宛贈筒)
(ともづつちゃしゃく・ほんだあわのかみあておくりづつ)

共筒茶杓(本多安房守宛贈筒)の詳細
所在地 金沢市本多町3丁目2番29号 金沢市立中村記念美術館
市指定文化財 平成21年12月11日

小堀遠州(1579~1647年)は、幕府の要職にありながら茶人としても活躍し、武家の格式にふさわしい茶風を立てて茶道遠州流の祖となった人物です。加賀藩との関わりも深く、三代藩主利常、四代藩主光高は遠州に茶の湯を学びました。
この茶杓は、中節以下の幅が平行で、中節から上がまっすぐ広がり、櫂先(かいさき)は蓮弁(れんべん)形になっています。この端正な姿と、節上に流れるように見える縞模様の景色が好対照をなし、遠州の綺麗寂(きれいさび)好みがよく表れたものとなっています。筒に書かれた「本安房守様 小堀遠江守」の墨書により、遠州から加賀藩重臣の本多政重(1580~1647年)に贈られたことが分かります。
本多政重は、茶の湯を金森宗和(かなもりそうわ)に学び、宗和から贈られた「古瀬戸金森肩衝茶入」(MOA美術館蔵)、藩主から拝領した「村雨の壺」(藩老本多蔵品館蔵)や「唐物蒲生肩衝茶入」(中村記念美術館蔵)など茶道具の名品を所持していました。
この茶杓が遠州から政重に贈られた経緯は定かではありませんが、政重は寛永2年の遠州の茶会に招かれており、遠州と接する機会は少なくなかったと思われます。
遠州の作風がよく表れた名作として、美術的価値が高いばかりではなく、遠州との関わりが深かった加賀藩の茶道の歴史を伝える歴史資料としても価値が高いものといえます。

中央に竹の節があり先端が曲がっている共筒茶杓と細長い木の筒の表面に文字が書かれた本多安房守宛贈筒の写真

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