湯涌念仏踊り

民俗文化財 無形民俗:民俗芸能
湯涌念仏踊り(ゆわくねんぶつおどり)

湯涌念仏踊りの詳細
所在地 金沢市芝原町イ59番地 湯涌念仏踊り保存会
市指定文化財 平成27年9月11日指定
開催時期 8月15日

 湯涌念仏踊りは、かつて湯涌校下地区のお盆、秋祭りや家々の祝儀の宴席などで踊られ、現在、湯涌念仏踊り保存会のもとに伝承保存されています。
 湯涌校下地区は、医王山麓、浅野川上流域に位置します。この地は、藩政時代に五箇山で生産された塩硝(火薬の原料のひとつ)を刀利(富山県旧福光町)経由で金沢へ運んだいわゆる「塩硝街道」沿いにあり、福光方面との交流の中、盆踊り唄である「福光ちょんがれ」が明治の初め頃に伝わったとされています。
 湯涌念仏踊りは、唄は三味線・笛・太鼓などの伴奏楽器は一切用いずに歌われ、最初に「さかた」で七七七五の四句で短い歌詞を歌い盛り上がったところで、「ちょんがり」で「目蓮尊者」(一般的には『目連尊者』、湯涌では『目蓮尊者』)という七七調の長編の歌詞を歌います。「さかた」の唄には「ハルバイナ」という囃子詞が入っており、「福光ちょんがれ」の囃子詞「ハルワイナ」に類似しています。「目蓮尊者」は五段まであり、全部を歌いきると未明に及ぶため、数人で代わる代わる歌う形式になっています。
 踊り手の衣装は素朴な着物で、菅笠などの被り物で顔は隠すことはしません。「男踊り」は着物に帯を締め、白の股引に白足袋に草履を履き、頭には手ぬぐいでねじり鉢巻をします。「あねま(既婚女性)踊り」は緋の着物に赤い帯を締め、赤い腰巻きと赤い襷を掛け、頭は手ぬぐいで姉さんかぶりをし、足は男踊りと同様です。「たあた(未婚女性)踊り」も赤い着物に帯を締め白足袋に草履を履きます。
 念仏踊りは、もともと悪霊を鎮め送り出すなど災厄退散のために踊られましたが、それに仏教の教義が結び付いて亡魂供養のための盆踊りとして踊られるようになったと言われます。
 「目連尊者」を盆踊り(唄)としている地域は減少しており、今日全国では石川・富山両県のみで、石川県で4地区、金沢市では湯涌念仏踊りと八田町の「さかたおどり」の2地区がありますが、両者は系統が異なっています。
 湯涌念仏踊りは、素唄で地味な衣装を着て泥臭く野性味のある踊りで、笛や太鼓などの囃子も入らない、古い形態が伝承されている点が評価されます。また、市内において「さかたおどり」とともに「目連尊者」を歌う数少ない民謡です。

茅葺屋根の家の庭で、ねじり鉢巻きをして青い着物に白の股引姿の男踊りをする人、緋の着物に赤い帯を締め、赤い腰巻きと赤い襷を掛け、頭はに手ぬぐいで姉さんかぶりをしてあねま踊りをする女性たち、赤い着物姿のたあた踊りをする女性たちが輪になって踊っている写真

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