西勝寺庭園
記念物 名勝
西勝寺庭園 (さいしょうじていえん)
所在地 | 金沢市瓢箪町376番外 |
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市指定名勝 | 令和4年3月22日指定 |
西勝寺は瓢箪町に所在し、表通りに西面して門を構える。庫裏の東側には、江戸末期の寺院再建時の建築と伝わる茶室「雀庵」がある。二畳半中板の席で、西に四畳半の水屋が接している。
庭園はこの茶室に面して北東方向に広がっており、茶席に向かう道程として設えられている。その作庭時期は、20世住職西野慶應が自坊の茶の湯空間として茶室とともに築いたものと考えられ、江戸時代末頃と推定される。一連の道程のなかで、曲げて打たれた飛石が限られた空間に奥行きを演出し、軒庇の下を巧みに利用した設えは、雨や雪が多い当地方ならではの実用性を感じさせる。眺めを意識して要所に配された山型の景石やその背後を曲流するせせらぎは、市中にありながら山住まいを思わせる景趣を演出するものであり、工夫を凝らした当時の作庭意図の一端を窺うことができる。
茶室「雀庵」とその露地で構成される西勝寺庭園は歴代住職が継承してきた茶の湯の空間をよく残しており、茶道が盛んな金沢における庭園文化の系譜をたどる上で非常に意義深い事例であるといえ、金沢市指定文化財としての価値を有するものと認められる。