長坂用水法師の隧道
記念物 史跡
長坂用水法師の隧道(ながさかようすいほうしのずいどう)
所在地 | 金沢市大桑町法師山、同町上川原、別所町地内 |
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市指定史跡 | 平成20年12月26日指定 |
長坂用水は、金沢市の南東を流れる延長約9.1キロメートル(廃止区間含む)の用水です。犀川(さいがわ)の支流である内川(うちかわ)で取り込まれた用水は、隧道(ずいどう・トンネル)区間を経て野田山(のだやま)の裾に沿い流れて分岐し、泉野(いずみの)・寺町(てらまち)台地の田畑を潤したのち伏見川(ふしみがわ)に流れ込んでいます。
築造当時の記録は残されていませんが、19世紀初めの文献には、寛文7年(1667年)または寛文10年に着工し、寛文11年に完成したことと、この用水により長坂新村(ながさかしんむら)が興されたことなどが記されています。
長坂用水には、いくつかの隧道が造られましたが、中流部に残る「法師の隧道」は、通称「法師山」を貫通するもので、上流区間と下流区間に分かれており、全長約370メートルになります。
隧道には、あわせて10カ所の横穴(よこあな)が山肌に向かって開いています。この横穴は、掘削土砂の搬出や換気に使われたほか、工区を分割することにより、工期を縮め、掘削精度を高めることができました。 隧道内部の壁面には、掘削時の工具痕(こうぐこん)が一面に残っています。また、照明を置くための「タンコロ穴」と呼ばれる15センチメートル程のくぼみがあちこちに残っています。