(国選定)縁付金箔製造

選定保存技術:縁付金箔製造(えんつけきんぱくせいぞう)

縁付金箔製造の詳細
保存団体 金沢金箔伝統技術保存会
国選定保存技術 平成26年10月23日選定

 縁付金箔製造は、箔打ち専用の手漉和紙を加工した箔打紙に金を挟んで打ち延ばし、金箔を製造するもので、我が国の伝統的な製箔技法である。正方形に仕上げた箔を箔合紙に重ねた時、箔合紙の寸法が金箔を縁取るように一回り大きいことから、完成した箔のほか、その製法も縁付と呼ばれる。
 技術内容は、澄(ずみ)工程、箔工程、紙仕込み工程の三つに大別される。澄工程は、純金に微量の銀と銅を加えた合金を打ち延ばし、厚さ千分の1ミリメートルの澄(上澄(うわずみ)、仕上澄(しあがりずみ)とも呼ばれる。)を仕上げるまでの工程を指し、澄屋(ずみや)と呼ばれる専門の技術者によって行われる。箔工程は、澄と箔打紙を交互に重ねて薄く打ち延ばし、厚さ1万分の1ミリメートルの箔を製造する工程であり、これに携わる専門の技術者は箔屋(はくや)と呼ばれる。
 紙仕込み工程とは、専用の特殊な手漉和紙を澄又は箔の打紙(うちがみ)として仕立てる工程であり、澄屋又は箔屋が自ら行う。中でも箔打紙の仕込みは、その良否が箔の仕上がりに大きく影響するため、縁付金箔製造技術の要とも言える重要な工程である。泥土が添加された箔打ち専用の手漉きの雁皮紙(がんぴし)を原紙(下地紙(したじがみ)と呼ばれる。)とし、藁灰汁(わらあく)、柿渋等を染み込ませて叩くことを繰り返して仕込む工程は、多大な労力と時間を要する。また、澄打紙(ずみうちがみ)にはニゴ(稲藁(わら)の芯部)を主原料とする特殊な手漉和紙を用い、湿らせて叩くことを繰り返し、約一週間かけて仕込む。
 金箔には、縁付箔のほかに工業製グラシン紙を打紙に用いる断切箔(たちきりはく)があるが、縁付金箔は極めて薄く、しなやかで大きく、色艶に優れ、無形文化財の工芸技術による作品制作や有形文化財の保存修理には欠くことのできない原材料である。有形・無形の文化財の保存のため、縁付金箔の製造技術について保存の措置を講ずる必要がある。

縁付金箔を竹のようなもので挟んでいる写真

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