上辰巳南遺跡(辰巳用水関連遺構)
上辰巳南(かみたつみみなみ)遺跡 発掘調査の概要
調査期間 平成19年8月1日から22日まで
辰巳用水の史跡指定準備調査の一環として、犀川上流の上辰巳町地内において、隧道横穴の前面箇所で発掘調査を実施しました。
調査の結果、辰巳用水の旧流路と推定される幅約3メートルの水路跡がみつかりました。水路跡は、現在の流路である隧道(ずいどう・トンネル)に並行する山肌の岩盤を削り取ってつくられており、出土した陶磁器から18世紀後半以前に使用されていた水路であることがわかりました。
この水路はかつての辰巳用水の一部と考えられます。辰巳用水の景観を知ることができる最も古い文化6年(1809年)の絵図では、この区間はすでに隧道として描かれており、発掘調査でみつかった水路はそれより古い時代の辰巳用水の姿を示しているものと考えられます。出土遺物の年代が絵図より古いこともこのことを裏付ける理由の一つといえます。
上辰巳南遺跡の発掘調査結果からは、現在の辰巳用水の姿は必ずしも築造当初の姿を伝えるものではなく、時代の変遷によって少しずつ姿を変えていったのだということがわかります。辰巳用水の流路変遷を解明する上でも重要な発見といえるでしょう。
上辰巳南遺跡・岩盤を掘り抜いた旧流路
旧水流路の石積