上辰巳カズコズ遺跡(三段石垣)
上辰巳(かみたつみ)カズコズ遺跡 発掘調査の概要
調査期間 平成20年11月25日から12月8日まで
辰巳用水の史跡指定準備調査の一環として、上辰巳町において通称「三段石垣」の発掘調査を実施しました。遺跡名の「カズコズ」は調査区周辺の小字名です。
三段石垣は、犀川(さいがわ)上流右岸、上辰巳町・辰巳町境付近の山すそにある長さ約260メートルの石垣で、主要な部分が三段に分けて築造されています。平成19年度に石垣全体の測量調査を実施し、その成果を基に翌20年度に石垣の構造解明を目的として発掘調査を行いました。
最下段の石垣基部では、地下に4段分の石垣が埋もれていることを確認しました。最下段の石垣は地上部で9段を確認することができるため、合計13段の石垣が積まれていることになります。石垣をおおっていた土砂は犀川の河川活動によって堆積した砂礫土と考えられます。また、石垣最上部の平坦面では、石垣の後ろから奥行き約2.4メートルの幅で裏ごめ石が詰められていました。また、石垣がくずれやすい岩盤斜面をおおうように築かれていることも判明しました。
なお、いずれの調査区からも遺物の出土は見られませんでした。
三段石垣基部
三段石垣上部
三段石垣中央部
三段石垣南端部