接尾語編
金沢の方言 接尾語編
金沢弁の一番の特徴は、さまざまな状況に応じて使い分けられる「語尾」にあります。
さまざまな金沢弁の「語尾」を紹介しましょう。
まず、金沢弁といえば、「~しまっし」
~しまっし(~しなさいよ)
「金沢の方言は?」といえば、かなりの人がこの「~しまっし」(~しなさい)という言い方を真っ先に思いつく事でしょう。
- 音声を聴く(来(き)まっし)
- 音声を聴く(座りまっし)
- 音声を聴く(食べまっし)
例文
- 「金沢ぁ、いっぺん来まっし」
- 「そこへ座るまっしね」
- 「さあ、これ食べまっし」
この「~しまっし」はさらに、「~しまっしね」「~しまっしま」となると、さらに『~しなさいよ』『ぜひ~しなさいよ』と意味合いが強くなっていきます。
市内の多くの看板や交通標識にもこの「~しまっし」という言い方は頻繁に使われる程、金沢では日常的に使う方言といえましょう。
濁音が多い金沢弁
金沢弁は、語尾に濁音が混じる場合が多くあります。
- ~じー(~だよね・~ですよね)
- ~げんて(~なのだ)
- ~げんろ?(~なのですよね?)
- ~がやて(~だそうな)
- ~(する)がやぞ(~なのだよ・(必ず)~しなさいよ)
- ~でないがけ?(~ではないのですか?)
音声を聴く(~じぃ、~げんて)
例文
- 「それいいじー」
- 「いいがやろー?」
- 「うらやましぃじー」
- 「うん、これすっごい、いいげんて」
この濁音が混じる言い方を『汚い』とする向きもありますが、ここにも金沢の素朴さが表われています。
「が」「け」「て」
金沢弁には、「が」「け」「て」を含んだ語尾変化が多くあります。
~がや(~なのです)
- 音声を聴く(~がや(語尾上がり))
- 音声を聴く(~がや(語尾下がり))
例文
- 「ほんなんがや(語尾あがり)。」(そうなんだよ)
- 「ほんなんがや(語尾さがり)。」(そうなのですか)
~が?(~ですか?)~がけ?(~ですか?)
音声を聴く(~が?)
例文
「今日、マチに行くが(け)?」(今日繁華街に行きますか?)
~なんけ?(~なのですか?)~け?(~なのですか?)
音声を聴く(~け?)
例文
「ちょっこし多いけ?」(少し多いですか?)
~がやて(~だそうですよ)
音声を聴く(~がやて)
例文
「どーしても、出れんがやて。」
(どうしても出席(あるいは、外出)できないのだそうです。)
~てんて(~だそうですよ)
音声を聴く(~てんて)
例文
「もう先に行ってんて。」(もう先に行ったそうです。)
~ねんて(~ですよ)
音声を聴く(~ねんて)
例文
「そうねんて(ほうねんて・おいねんて)。」(そうなのですよ。)
男女での語尾の変化
ここでは、「男言葉/女言葉」があって話手が男性か女性かで変化する語尾を取り上げました。
男性:~ぞいや・女性:~ぞいね
- 音声を聴く(~ぞいや)
- 音声を聴く(~ぞいね)
例文
- 「今日は特に寒いぞいや」
(今日は特に寒いですね。) - 「今日は特に寒いぞいね」
(今日は特に寒いですね。)
男性:~がいや・女性:~がいね、男性:~わいや・女性:~わいね、男性:~かいや・女性:~かいね
男性の場合、これらの語尾では「や」で終わる事が多く、また女性の場合や男性でも目上の人との会話では、語尾が「ね」で終わります。
その他
- ~やさけぇ、~(~なのだから、~なのです)
- ~やちゃ(~なんだよ)
- ~やうぇ(~なんだよ)
- ~しとこ/~しとろ(~しなさい。~していなさい)