金沢市冬期バリアフリー計画 4

4章 冬期バリアフリー対策の実施における課題

(1) 重点整備地区以外の地域について

今回の計画では、交通結節点や主要な公共施設等が多く分布し市民や観光客の通行が多い中心市街地を重点整備地区と設定した。しかし、重点整備地区以外でも、平和町、金石、額住宅、円光寺など、居住、買物、用務などの市民の日常生活圏が徒歩によって形成されている地区や、小立野、寺町台など、坂道が多い住宅密集地は、冬期の歩行空間確保の必要性が高い地区であるといえる。
こうした重点整備地区以外の地域においても、金沢市として特別除雪モデル地区(仮称)に指定する等、歩道除雪体制の強化や、地元住民の除雪活動に対する支援をシステムとして確立することが課題である。

(2) 技術的課題

環境に対する負荷が小さくコストも安い消雪技術や、縁石部でのとけ残りや排水処理などのポイント整備については、有効な技術はまだ確立されていないが、技術開発の動向を見極めながら、周辺状況に応じて新しい技術を試験的に導入するなど、有効な方策を今後検討することが課題である。

(3) 水源の確保

地下水の多量くみ上げは地盤沈下の原因となるばかりでなく、人工的な涵養が困難なため、地球規模の水循環に悪影響を与える。環境面を考慮し、新たな地下水のくみ上げによる消雪は極力行わないよう、地下水熱のみを利用する地下水直接循環方式や車道散水前の地下水熱を活用する地下水循環後散水方式による整備など、水資源の保全に努めるとともに、用水、河川水など表流水の効果的な活用をより一層進めることが課題である。

(4) 事業調整

冬期バリアフリー対策を実施する際には、沿道施設や歩道状況、関連事業計画等に応じて、消融雪施設(無散水、散水)や、全天候型施設といった適切な整備内容を決定する必要がある。特に、再開発事業等による沿道建築物との連携が見込まれる場合は、建築物の形態や事業主体との費用分担もあるため、計画の早期段階で事業調整を行うことが課題である。

(5) NPO組織等の活用

住民協力による除雪活動を進める場合、高齢者や身体に障害のある人が除雪作業を行うことは困難であるため、除雪ができない人達の代わりにボランティアやNPOが中心となって除雪活動を行う地域連携システムを育成するための関係施策(例えば顕彰制度の導入、活動費の一部助成)を検討することが課題である。

(6) 福祉分野等との連携

冬期においては、介護保険適用サービス時間のうち、移動介護に時間を要するため、実質のサービス時間が減少する。こうした点も冬期における課題である。

(7) 予算の確保

冬期バリアフリー計画を実現し、事業を円滑に進めるには、国、県、市の連携が重要であるとともに、県、市での予算の確保が必要である。多様な事業手法の適用や、既定の事業にあわせて整備を行うなど、効率的な予算活用を進めることが課題である。

ウィーンの歩道除雪

ウィ−ンでは、民法および道路交通法によって道路や歩道の冬期維持管理が義務付けされている。車道は市当局が行うが、歩道は不動産所有者が行わなくてはいけない(朝6時から夜10時の間に)。また、気象状態や実施作業を日誌に記録する必要もある。「罰金はないのか?」との質問に、「あるが少ない。不動産所有者が除雪しなかった歩道は、市が業者に委託して除雪し、後日その金額を請求する。」とのこと。また、「あそこの家は除雪していない」という密告も1日何件かあるようで、その都度、市当局が現場と所有者の日誌を確認して事の真偽を正すようである。

映画『ホームアローン』

映画『ホームアローン』の中で、シカゴ郊外に住む少年アレックスが、雪かきをしたお礼にと近所のおばさんからリモコンカーをプレゼントされるという場面がある。このことから、アメリカでは、子どもが雪かきをすることがかなり一般的であることがうかがえる。

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