Pick Up 鈴木大拙館


ピックアップ紹介
01 内部回廊 Interior Corridor
光に導かれる。
真っ直ぐにのびる回廊は暗く、足下の淡い光が入館者を奥へと導きます。この回廊は参道のような役割を果たしています。
02 玄関の庭 Vestible Garden
クスノキとの出会い。
正面の大窓から広がる玄関の庭。回廊途中にガラスのアルコーブを設けることで、その先のコンクリート壁を意識させない効果を生み出します。
03 展示空間 Exhibition Space
これは一体何なのか。
最小限の展示品が解説なく展示されています。知ることより感じること、理解するより体得する空間。
04 学習空間 Learning Space
障子の間仕切りが空間を左右する。
大拙を学ぶ場所。障子を開放すれば露地の庭、閉鎖すれば二俣和紙を太鼓張りにした障子の輪郭が浮かび、室内に心地よい緊張感を演出します。
05 露地の庭 Roji Garden
マル・サンカク・シカクの石。
谷口吉生デザインの抽象的なインド産御影石の蹲(つくばい)があります。湧噴する水は水鏡の庭とサイフォンでつながっています。
06 水鏡の庭 Water Mirror Garden
「静か」「自然」「自由」を表現。
周辺景観との調和、季節や天候・時間によって変化する水面は、大拙の人柄にふさわしい「静か」「自然」「自由」を表現。鏡のような静かな水面に時より現れる波紋は○(丸)、限界まで単純化された軒や床の角が見せる△(三角)、水鏡の庭の輪郭や敷石は□(四角)を表しています。
07 借景 Borrowed Scenery
本多の森を背後に。
瀬戸内海産の錆石が規則的に積み上げられ、壁面の陰影が様々な表情を見せます。石垣の背景は、本多の森を借景としています。
08 思索空間 Contemplative Space
自分と向き合い考える空間。
自分と向き合い「考える」空間。今は四畳半を意識した正方形空間に半畳の可動の椅子が置かれ、中心の空間は方丈となっています。静かで心地よい緊張感を持つこの空間から水鏡の庭、石の壁、本多の森や空が一望できます。
09 隣接する松風閣庭園 Shofukaku Garden
静寂で深遠な庭園空間。
中村記念美術館や松風閣庭園などの歴史文化施設を散策路で結び、周辺の回遊性を高めています。周辺に多くの大木を植生し、奥行きと広がりを感じさせる静寂で深遠な庭園空間です。
10 緑の小径に続く散策路 Walking Path
本多の森へ続く。
途切れた側壁では、静かな水音のなかで水鏡の庭と対峙します。楠の大木を眺めることもでき、さらに歩を進めると本多の森へと続いていきます。
関係者のみぞ知る ウラ話

水鏡の波紋は計算されている。
水鏡の庭の水面に発生する波紋の間隔は約3分。これは波紋が起こり、消えるまでの時間が計算されています。当初、複数の波紋が計画されましたが水鏡の空間全体のバランスと「静か」「自由」にふさわしい環境を表現するためにひとつとなりました。
水鏡の凄いシステム。
水深140ミリメートルの水鏡は、周りの景色を美しく映り込ませるよう底石に黒い石が採用されました。水鏡により思索空間は、水の中に浮いている様に映ります。水底には900ミリメートル×900ミリメートルの花崗岩パネルが敷設され、それらは四本の支柱で支持されています。石と石の隙間から水が供給・循環され、水は銅イオンを用いた濾過循環システムによって浄化されています。
石垣が建物のバランスをとっている?
大きな石垣を配置することで、建物全体がコンパクトに見えるよう表現しています。石垣の高さは背景となる本多の森を最も美しく見せるために、何度も検討が重ねられた結果、4200ミリメートルとなりました。
壁仕上げの違い。
外壁は漆喰調セメント系薄塗り仕上げの白に対し、内壁は4.5ミリメートルのスチールプレートで仕上げられ内と外を対峙させています。
クスノキのために設けられた玄関の庭。
内部回廊の三角アルコーブは、既存のクスノキを見せる上で最適な位置に設定されました。玄関の庭の敷石は、無機質な下石とすることでクスノキを強調させる効果があります。