巻数(勧請)板
巻数(勧請)板 (かんじょういた)
出土 | 堅田館跡(堅田B遺跡) かただやかたあと(かただBいせき) |
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金沢市北部にある堅田館跡(堅田B遺跡)から3点出土しました。遺跡は13世紀中頃から14世紀末頃の館跡と考えられています。本資料は館西側の堀から出土しました。
巻数板は木製の板で、片面には墨書(ぼくしょ)がされています。墨は退色していますが、木の表面がわずかに盛り上がっているため文字が判読できます。3点のうち2点には、般若心経(はんにゃしんぎょう)の筆写に続き紀年(弘長(こうちょう)三年=1263年と建長(けんちょう)三年=1251年)+僧侶(そうりょ)名+「敬白」と記されています。
越後国国人領主色部(いろべ)氏の記録には、毎年正月八日に邸宅の門に般若心経を記した板をつり下げ、領主が家臣・領民らに酒と食事を振るまう行事をしたとあり、中世の絵巻物には、館の門柱に文字を記した板を吊している図を見ることができます。これらは、巻数板が使用される様子を記録したものと考えられています。
本資料は、年代が記された木簡として考古学的に重要なだけでなく、考古学・文献史学・民俗学を横断的に考察することができる資料としても貴重です。
平成13年に巻数(勧請)板3点が市指定文化財となっていましたが、平成20年に700点余りの出土遺物が追加指定され、その後平成31年に石川県指定文化財に指定されました。