弥七の豆がらたいこ 9
弥七はざる一杯の豆を畑に「どぉー」とひとつところに蒔いてしもうた。
「おーぃおいなにするがい?」「なぁーんも、こんでいいがや。」
豆を蒔いた弥七は桶に一杯水を汲んできて、「そおれっ、五石一斗じゃぁ」
それから肥やしを汲んでくると「そおれっ、五石一斗じゃぁ」
とどおぉっとかけた。村のもんはあきれてしもうた。
それを聞いたほかのもんも弥七の主人もあきれてしもうた。
ほんでも弥七はにこにこ笑ろうて、毎日毎日「そおれっ、五石一斗じゃぁ」と水をかけ「そおれっ、五石一斗じゃぁ」と肥やしをやっとった。