腸管出血性大腸菌とは
腸管出血性大腸菌感染症(O157、O26、O111等)とは
1.腸管出血性大腸菌とは
大腸菌は、人や家畜の腸内に存在し、ほとんどのものは無害ですが、いくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原大腸菌と呼ばれています。この中で、特に毒力の強いベロ毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)をおこすものを、腸管出血性大腸菌といいます。1996年の堺市などの集団感染で有名になったO157はその代表的なものですが、そのほかに026,O111,O128など多くの種類があります。
2.感染経路
菌に汚染された食品・飲料水からの感染、患者や保菌者からの感染など種々の感染経路が報告されています。食品としては牛生肉のほか野菜など種々な食品の報告があります。拡大防止のために感染経路の究明が大切です。
3.症状
O157等の感染では、約半数は全く症状がないか軽度の下痢のみです。また約半数では水様性の下痢から激しい腹痛と大量の鮮血を伴う下痢まで様々です。時には血小板減少、貧血、腎機能障害を特徴とする溶血性尿毒症症候群(HUS)などの重篤な合併症を起こし、死に至ることもあります。
4.特徴
- 通常の食中毒菌と異なり、非常に少ない菌数でも発症します。
- 潜伏期間が2~9日と長い。
- 感染力が強くわずかの菌数でも感染し、人から人へと広がります。
O157ではわずか数百程度の菌数で発症するため、糞便等を介して感染する可能性があります。トイレのドアのノブ、オムツの取り扱いなど十分な注意が必要です。
(通常の食中毒菌は人から人へ感染することはありません。) - 熱や市販の消毒薬に弱い。
75℃、1分の加熱で死滅します。
また逆性石鹸(塩化ベンザルコニウム)やアルコールなどの市販の消毒薬でも容易に死滅します。
5.予防 − 通常の食中毒対策で予防が可能です −
- よく手を洗いましょう。
- 調理器具は清潔にしましょう。
- 肉類など汚染が心配されるものは十分に加熱しましょう。
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