斜面緑地の保全 斜面緑地保全基準
(1) 緑地の保全に関する事項
ア 基本的事項
- (ア)河岸段丘地形を特徴づける緑として、できるだけ斜面緑地の連続性の確保に努める。
- (イ)都市の緑化を推進するため、まちなかの斜面緑地の減少を抑えるとともに、積極的な緑地の確保に努める。
- (ウ)自然豊かな緑地は、ひとたび失われると回復が困難であるため、できるだけ保存に努め、失われる場合は代わりの緑地の確保に努める。
- (エ)斜面緑地の積極的な植栽に努める。
- (オ)斜面緑地と一体感のある公園緑地の設置及び整備に努める。
イ 現況が樹林地である土地
- (ア)斜面緑地はまちなかの環境の保全のために有益であるため、積極的な保全に努める。
- (イ)斜面の造成は原則として行わず、やむを得ず行う場合は、敷地内に別表1に定める緑被率の緑を確保する。
ウ 現況が裸地等である土地
(ア)植栽や播種により本来の多様な植生を目指す。
エ 現況が建築物等に利用されている土地
- (ア)建築敷地内には別表1に定める緑被率の緑を確保する。
- (イ)既存樹木をできるだけ伐採しない。
- (ウ)擁壁等の構造物は、壁面を緑化するなどの工夫をする。
(2) 建築物その他の工作物の規模、位置、色彩、意匠及び形態に関する事項
ア 基本的事項
- (ア)斜面緑地が郷土の景観として際立つように、背景の緑を阻害せず、調和のとれた土地利用を図る。
- (イ)斜面緑地との調和を図るため、建築物等の屋根や外壁の色彩に配慮する。
- (ウ)河岸段丘の緑の帯を阻害しないように、建築物等の高さを抑える。
- (エ)勾配屋根を採用するなど、斜面緑地と形態的な調和を図った建物とする。
イ 規模
- (ア)緑地の保全が困難になるため、敷地の細分化は行わない。
- (イ)斜面を覆うような建築物等を建てない。
ウ 位置
(ア)既存の緑の中に埋もれるよう配置を工夫する。
エ 色彩
- (ア)建築物等の屋根、外壁等の色彩は、周辺の緑との調和を図るため、別表2に定める基準に適合するものを原則とする。
- (イ)広告物等の色彩は、緑を阻害しないように配慮する。
オ 意匠
- (ア)周辺の緑豊かな環境との調和を図る。
- (イ)屋上には広告物は設置せず、設備機器等を露出させないようにする。
カ 形態
(ア)斜面の緑を眺望できるよう、他の法令等に定めのあるもののほか、住居系用途地域では高さ15メートル以下、商業系用途地域では20メートル以下の高さにする。
(3) 動植物の生息環境及び生育環境の保全に関する事項
ア 基本的事項
- (ア)斜面緑地は、まちなかにおける重要な動植物の生息・生育環境であり、生物多様性の観点で保全に取り組むとともに、積極的な自然の回復に努める。
- (イ)生物の生育・生息環境の保全には十分な面的な広がりを必要とするため、一定の緑地のまとまりを確保する。
- (ウ)斜面に沿った動物の移動経路を守るため、緑地の連続性を確保する。
- (エ)望ましい植生が残されている斜面においては、荒廃しないように適切な維持管理を行う。
- (オ)防災工事を行う場合は、安全性の確保を図るとともに、現植生との共生に配慮した工法を採用する。
- (カ)本多の森などの自然度の高い照葉樹林等では凍結的な保全を図る。
- (キ)不法投棄の防止を図るとともに、廃棄物の撤去を速やかに実施する。
イ 動物の生息環境
- (ア)中~小型ほ乳類、昆虫類、鳥類などの生息地や移動経路となるよう緑地の配置に配慮するとともに、多様な生息環境の確保に努める。
- (イ)動物の餌になるような実のなる樹木を積極的に植栽する。
ウ 植物の生育環境
- (ア)植栽の際には、地域の種類や斜面の自生種を積極的に導入する。
- (イ)裸地・草地などは、小動物の生息環境に配慮しながら、木本類や草本類を含めた植生の多様性を確保する。
(4) 崩壊防止その他都市の防災上必要な事項
ア 基本的事項
- (ア)土砂災害に配慮した適正な土地利用をするとともに、災害遮断機能を発揮するよう植栽に努める。
- (イ)未利用地の裸地部など、植生が少ないところでは、災害を未然に防止するための緑化を進める。
- (ウ)斜面崩壊を誘発するような行為をしない。
- (エ)急傾斜地崩壊危険箇所等の災害危険性の高い地区については、斜面状態に注意を払う。
- (オ)崩壊防止対策工事を実施する際は、できるだけ植生が発達する緑化基盤を整備する。
- (カ)法面工において緑化を行う場合は、木本類の導入に努める。
イ 法肩
- (ア)斜面への排水はできるだけ行わない。
- (イ)斜面崩壊を誘発すると考えられる樹木は伐採するが、抜根せずに適切な処理を実施する。
ウ 傾斜地
- (ア)急傾斜地では、斜面の安定化を図り、造成工事を行わない。
- (イ)裸地では、そこを生活の場とする動物に配慮しながら積極的な植栽を行い、保水機能の向上を図る。
- (ウ)地面に水が滞留しないように適切な処理をする。
エ 法尻
- (ア)斜面の崩壊を助長するような掘削は行わない。
- (イ)斜面の安定に注意しながら豊かなわき水をできるだけ保全する。