令和7年10月 金沢市名誉市民 故 山出保氏 お別れの式

7月14日、93歳で亡くなられた名誉市民で元金沢市長の山出保（やまでたもつ）氏の「お別れの式」を執り行いました。

山出保氏は、1990年（平成2年）の初当選から5期20年にわたり、金沢の個性である歴史・伝統、学術・文化に立脚した個性あふれるまちづくりに力を注がれるとともに、1996年（平成8年）には、中核市への移行を果たし、2003年（平成15年）から2期4年にわたり、全国市長会会長として、地方分権改革の推進に取り組まれるなど、地方自治の発展に多大な貢献をされました。中でも、日仏自治体交流会議での日本側の推進委員長を務めた功績が認められ、2010年（平成22年）にフランス共和国の最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章シュバリエ賞を受賞されたほか、2011年（平成23年）には自治功労に対し、旭日重光章を、翌2012年（平成24年）には金沢の文化発展に対する功労により、北國文化賞を受賞されました。

金沢のまちの発展に尽力された故人を偲び、お別れの式には、多くの市民が弔問に訪れました。

本日は、「金沢市名誉市民 故 山出 保氏 お別れの式」にご参列をいただき、誠に有難うございます。

山出 保 元金沢市長は、去る7月14日、93歳にてご逝去されました。

今、山出元市長のご霊前に立ち、金沢市長として、市民の皆様を代表し、心から哀悼の意を表しますとともに、衷心より感謝を申し上げます。

山出元市長は、昭和29年に金沢市に奉職され、市職員、さらに助役として計36年勤められた後、平成2年から市長として5期20年の長きにわたり、市政の発展にご尽力いただきました。

私が市長に初めて出馬する際には、長年お勤めになった市役所や助役としての経験、また、市長として市政の運営にあたってこられたお立場から様々なアドバイスをいただきました。

特に、金沢のまちなみをどのように守り発展させていくか、ということについて、大きな薫陶をいただきました。

お話をさせていただいた中で印象に残っているのは、「金沢はどこにもないまちだ。金沢は金沢だ。」という言葉です。

豊富な経験と高い見識、行政の隅々にまで向けられた気配り、卓越した指導力により、金沢市の舵取り役として、その職責を全うされました。特に、金沢21世紀美術館や金沢駅東広場の整備では、市民から様々なご意見があった中でも、先を見通し、金沢にとって何が大切なことなのか、何が足りないのかということを見据えた姿勢で事業を進めてこられた結果、今の金沢の賑わいがあると思っております。

芸術・文化の振興では、新たに芸術の幅を広げるものとして、金沢市民芸術村を開設されました。市民芸術村は365日24時間開放する全国に例を見ない施設であり、多くの若い芸術愛好家のエネルギーがたぎる場所となっています。

また、金沢に残る伝統的で高度な職人の技の伝承と人材の育成などを目的に、金沢職人大学校を設立されました。この大学校を卒業した職人は、能登半島地震の能登地区での復興支援に派遣されるなど今も幅広く活動を行っております。

その一方で、在任中には、全国市長会の会長も務められ、地方分権改革の推進に取り組まれるなど、我が国の地方自治の発展にも多大な貢献をされました。

誰よりも金沢に深い愛情をお持ちであり、常に将来を見据え、保全と開発の調和を基本としたまちの発展基盤の整備、新たな芸術文化の創造や景観の保全のほか、産業の強化、福祉・環境・教育の充実に力を注がれるなど、市政の発展に尽くされた足跡は計り知れず、その姿勢は、今の市政を預かる者として、引き継いでいかなければならないと強く感じております。

ここに、山出元市長が金沢に深い愛情を注ぎ、「どこにもないまち金沢」の礎を築かれた、偉大なご功績に敬意と感謝の意を表するとともに、さらなる市政の発展に全身全霊を傾けて励んでまいることを改めてお誓い申し上げたいと存じます。有難うございました。

令和7年10月3日

金沢市長 村山 卓