弥七の豆がらたいこ 10
一月たって、豆が一本だけ芽を出した。
豆の木はにょきにょき伸び出した。二日目には弥七の背丈ほどになり
三日目には畑の縁にある松の木の高さと並んだ。
「ひやぁー、どこまで伸びるんじゃ」みんなはびっくり。
「まだまだじゃ。五石一斗とるんじゃ。もっとのびろ、もっとのびろ」
弥七は叫んだ。
「そおれっ、五石一斗じゃぁ、そおれっ、五石一斗じゃぁ」
夏になると豆の木はとうとう空を飛んでいるトンビにまでとどきそうになって沢山の豆のさやをつけた。
弥七は大喜びで豆の木を斧で切り倒した。
採れた豆を升で量ったらちゃぁんと五石一斗あったそうや。