中層木造建築 仮想設計成果について
いま、日本の木材利用の観点や、低炭素社会の実現に向けて中大規模建築の木造化が注目されています。
金沢市では、令和4年度に尾張町において、まちなみにふさわしい4階建の新しい木造建築について検討しました。
注意 本設計成果は尾張町の仮想の敷地を想定し、課題等を検討したもので、実際の敷地や建築計画とは関係がありません。
敷地 |
金沢市尾張町 |
建物用途 |
店舗、事務所 |
建築面積 |
160平方メートル(68.6%) |
延べ床面積 |
530平方メートル(223.1%) |
構造 |
木造4階建 |
防火仕様 |
耐火建築物 |
最高高さ |
14.4m |
資料等
コンセプト
伝統と現代が共存し
文化が未来に繋がる尾張町界隈を
木造のまちなみで創出する
1.「木の文化都市」をまちに現す
伝統的町家から現代の建物まで歴史的重層性が醸し出す「過去」と「現在」が豊かに混在する金沢・尾張町に、木造の特徴である柱と梁による木軸架構や、木が映える上質で落ち着いた形態・色彩による新しい木造建築をつくり、「木の文化都市」を形成するまちなみの一員となる。
2.「木に彩られた」豊かなまちなみをつくる
中庭や前庭などにより植栽や緑化を積極的に取り入れた緑豊かで奥行きのある景観をつくり、建築と緑が一体で魅力と深みがある木の都市景観を形成する。
3.「木の空間」での営みをまちなみに醸し出す
金澤町家や和の持つ繊細さの感性を継承しながら、現代の素材や意匠も取り入れて令和の木の文化をまちなみに醸し出す.
また「木の空間」で行う営みをまちなみに醸し出すことで、江戸時代の大通りで あった尾張町の通りに生き生きとした賑わいを創出する.
コスト比較
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木造(国産材) |
鉄骨造 |
鉄筋コンクリート造 |
工事費 |
2億9,800万円 |
2億6,800万円 |
2億4,700万円 |
坪単価 |
189.9万円 |
170.6万円 |
157.2万円 |
鉄骨造比較 |
3,000万円UP |
←11%UP |
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鉄筋コンクリート造比較 |
5,100万円UP |
|
←21%UP |
条件等
- 同規模・同用途の建物として検討
- いずれの構造も内・外部に木質化を実施する想定
- 外構工事について含む
- 令和4年10月時点のコスト情報による
ポイントや課題について
構造について
- 純木造(大断面集成材構法)
- 見せる耐力壁としてCLTを使用
- 光を取り込む格子状耐力壁を使用
防耐火について
- 耐火建築の性能を確保した上に、木仕上げ
- 内部については法令を満たし壁に木を使用
木材調達について
- 想定される木材量は110立方メートル(構造材90立方メートル+内外装20立方メートル)通常の調達が可能とみら
れる - 金沢産材のスギは内外装材に使用し、県産材の能登ヒバもしくは国産材のカラマツを構造材に使用
- 今回の内容でさらに県産材の使用に限定した場合、国産材よりも若干割高(全体の約1%UP)になるとみられる
その他
- 工期の検討では木造は約9ケ月となり、鉄骨造の約10.5ケ月、RC造の12ケ月に比
べて短い結果 - 計画では木造の床を選択しているが、上下階の用途によっては遮音性能に注意
補助制度について
金沢市では、本仮想設計の対象とした尾張町等を対象に、建築物の木質化にかかる工事に対して補助金を交付しています。
木造での新築や、木質化をご検討の方はぜひご利用ください。