世界遺産とは
世界遺産とは、人類史に根ざしたさまざまな文化的遺産や、地球が産み出してきた特徴的な自然環境など、私たち人類共通の歴史的資産のことをいいます。
こうした貴重な資産を世界全体で保護していくため、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)の締約が世界各国に呼びかけられ、我が国も平成4年(1992年)に同条約の締約国となりました。
以来、国内からは平成5年(1993年)の文化遺産「法隆寺地域の仏教建造物」、「姫路城」の登録をはじめとして、平成19年(2007年)の文化遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の登録まで14件の文化遺産・自然遺産が登録されています。
世界遺産暫定リスト(暫定一覧表)とは
既に世界遺産として登録された物件や地域のほかに、将来世界遺産としての登録される可能性を持つ優れた資産は「暫定リスト」に記載され、条件が整った時点で国からユネスコに推薦されます。世界遺産登録への道のりは、この暫定リストに記載されることから始まります。
平成18年9月に、文化遺産を所管する文化庁主催の、世界遺産暫定リストに関する地方公共団体への説明会が開催され、地方公共団体から国への提案の方法などが示されました。
これを受けて、平成18年11月、本市は石川県と共同で、この暫定リスト記載を目指し「城下町金沢の文化遺産群と文化的景観」を国に提案しました。結果、継続審査となり、平成19年12月に改めて再提案を行いました。再提案の内容は、コンセプト(基本理念)、各構成遺産の説明、これらの構成遺産とその周辺地域の保存管理計画、世界遺産登録基準への該当性の説明から成っています。(詳しくは、「金沢の提案」のページをご覧ください。)
平成20年9月26日に開催された国の文化審議会文化財分科会で、本市が提案した「城下町金沢の文化遺産群と文化的景観」は、我が国の暫定一覧表に追加記載されず、暫定一覧表候補の文化資産として評価されました。評価の内容は、「主題に関する調査研究を行い、一定の方向性が見えた段階で準備を進めるべきもの(カテゴリー1b)」というものです。これを受け、金沢市では、世界遺産暫定一覧表への記載を目指し、さらなる調査を推進していきます。
今回の提案を機に
金沢は、400年以上の歴史を有する城下町を中心として発展してきました。市民には伝統的な景観や、数々の有形・無形の文化財と共存し敬意を払う精神が培われており、「保存」と「開発」の調和は、常に行政運営の中心課題です。
このたび提案いたしました「城下町金沢の文化遺産群と文化的景観」が、人類の普遍的価値をもつ資産として認識されるためには、今後、さらに文化財に指定されていない構成資産の指定の促進や、保存管理計画の策定が必要です。このたびの提案を機に、市民の皆様の一層のご理解とご協力をお願いします。