金沢のわき水

水は循環しています

太陽のエネルギーを受けて、水は海洋や陸地から蒸発して水蒸気になります。水蒸気となった水は、大気の流れによって移動し、やがて雨や雪になって地上に降り、さらに地表水や地下水になって海洋へと流出していきます。これが自然が営んでいる水の循環で、その過程の中で水は地上の生命を生み・育て、環境を維持し、自然を浄化しているのです。

いいね金沢 金沢のわき水 金沢市(湧水が湧き出ている場所の写真)

 湧泉、湧水、湧き水、清水、池などと普段何気なしに呼ばれている”泉”のことです。”泉”は地下水が自然に地中から地表、湖沼、海などに流れ出る現象ですが、私たちはあまり明らかな意識なしに、地下水が流れ出ているところ(地下水の露頭)と流れ出ている地下水の双方に対して使っているようです。
専門的に表現すると、”泉”は、その流出形態から、崖や岩の裂け目から湧出するもの(迸出泉)、盆状のくぼんだ底から湧出するもの(池状泉)、湿地を形成するもの(湿地泉)に分けられています。また、湧泉とは湧き水の存在する「場所」、湧出とは地下水がわき出す「こと」、湧水とはわき出した水その「もの」と理解すればよいでしょう。

ご注意

  • 掲載した“わき水”は、飲用の可否については未調査ですので、ご了承ください。
  • 調査期間 平成7年4月〜12月 

金沢の主なわき水

1.塚崎のわき水

柄杓とバケツがおいてある塚崎のわき水の水汲み場の写真

県立金沢北陵高校の南東にあります。丘陵の地下水が崖の裾からわき出ているもので、上方にある杉林が水源かん養林になっており、水量は豊富で、道路の消雪などに利用されています。

2.神谷内の自噴井群

民家の間を流れる水路の写真

神谷内集落のうちの柳橋川右岸に点在し、掘り抜き井戸から自噴しているものです。現在では「イドの水」といっています。水量は豊かで、かっては、飲用、洗面、洗濯などに使われていました。現在でも鎌などの農具を洗ったり、西瓜などを冷やしたりするのに使われています。今後も残したい井戸です。以前より水量が減って、柳橋川左岸にあったものは消滅したそうです。近くには神谷内児童公園のわき水や、法光寺集落に残る清水群があって、同じ丘陵からわき出すものです。

3.小金の泉

ブロックで囲いがされ、屋根がついている小金の泉の写真

裏山から出るわき水で、水量は少ない。「小金の泉」の小金とは、小坂町が旧の小金村であったことからこれにちなんで名付けられたものです。近くの御所町の加茂神社の境内にも「椎木水」というわき水があります。

4.鳴和の滝

文字が刻まれた石碑と鳴和の滝の写真

神社の横にわき水による湿地があり、そこの水を筧で引いて雄滝・雌滝にしている。「鳴和の滝」の鳴和とは、加賀の国の守護・冨樫介と義経一行が、この滝の上で酒宴を催し、弁慶が舞いながら謡ったと伝えられることから名付けられました。汗疹、眼病に効くといわれています。

5.卯辰山花菖蒲園のわき水

湧水の傍にある花菖蒲円と岩場から湧き出している湧水の写真

卯辰山「もみじ谷」の谷頭部の崖より一面にわき出ており、花菖蒲園の水源として使用されています。このほか、浅野川沿いの山麓部や東山、山の上町など、卯辰山の周りにはいくつものわき水が見られます。

6.石浦神社のわき水

周囲を柵で囲まれ大きな木の枝でおおわれている石浦神社のわき水の写真

本多の森の崖からのわき水で、浅い池になっています。水生生物も見られます。

7.金城霊沢

屋根があり、周囲を柵で囲われている金城霊沢の写真

金沢の名のいわれとなっているわき水です。井戸の胴が直径153センチメートル、深さ180センチメートルで、その下方120センチメートルには丸石が詰められている。小立野段丘からのわき水と考えられる。井底からわき出していて、夏でもかれることはない。茶会の水として使われており、寒の季節の冷たい水は文化財などの保存用の正麩糊をつくるために使われている。

8.馬坂不動寺の霊水

坂の途中に建てられている.馬坂不動寺の写真

昔、草刈りの馬が通ったと伝えられる馬坂の中程に、竜頭の筧より滝のように流れ落ちているもので、不動尊をまつっています。水源は、小立野段丘からわき出るわき水を高源院の後ろの崖より集めているものです。近くの木曽坂ぞいの崖にも同じようなわき水が見られます。

9.旧長谷川町の清水

石階段の横にある水汲み場の写真

小立野・古府線が小立野台地から下りてくるところの南側の崖にあります。かつては、自然の崖に節抜き竹を埋めて水を引いており、旧長谷川町の10数軒で飲用をはじめ、生活一般に使用されていました。昭和63年小立野・古府線が完成したとき、ここがコンクリートの擁壁となり道路の下にパイプを埋めて、水を引いています。水量は豊富で、現在は、洗濯、消雪、植裁への散水、西瓜などを冷やすために使用されています。このような小立野台地の崖沿いには、石浦神社のわき水から大清水まで多くのわき水が見られます。

10.大清水

奥に石垣があり、三角形をした池の写真

市街地にある市を代表するわき水です。わき出し口を石垣にし、その全面に一辺およそ8メートル、深さ12センチメートル位の浅い三角形の立派な池が作られています。近くの32軒が維持管理しています。洗濯のすすぎ、野菜洗いなどに利用し、交流の場ともなっています。

11.法島不動尊のわき水

石階段の横にある、屋根の下祭られた法島不動尊の写真

十一屋小学校横の八幡神社裏の階段を下りたところにあります。崖一面からのわき水を集めてほこらの手水鉢に入れており、眼病に効くといわれています。ここにまつられている不動尊は、明治44年百間堀埋め立ての際に掘り出されたものです。ここから西大桑町にかけての崖沿いには、このわき水と同じようなわき水が点在しており、現在は主に、畑の灌漑や庭園の池の水などに使われています。

12.上の清水(粟崎町)

道路脇の民家の間にあり、看板が立てられている上の清水の写真

砂丘からのわき水で、同じようなものが以前はこの付近に数カ所見られたが、現在ではここだけになってしまいました。後方約5メートルの集水ますから引いています。昔、殿様の飲用に供されたとの言い伝えがあります。

13.もっくり群

水が張られた四角く囲われた井戸にオールのような木の棒がたてられている写真

自噴井からわき出ている様子が”もくもくと”、”もっくもっくと”、”こんもり盛り上がって”、”むっくりと膨らんで”等と表現されるような状況なので、一般に「もっくり」などと呼ばれている。かつては、灌漑用や家庭用として頻繁に使用されていましたが、地下水揚水量の増加と河床の低下によってほとんど消滅しました。しかし、現在でも、一部の家では、かつて自噴していた井戸に小さなポンプを取り付け、昔の洗い場に入れ、野菜や農具を洗ったりするのに使用しています。「もっくり」は金沢平野のほとんどの範囲で見られたが、だいたい北陸自動車道から海側で金沢港付近以南の「もっくり」の地下水は手取川水系からのものであり、その他のものは犀川、浅野川水系からのものと考えられます。

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