ワークショップニュース第2号金石西
金沢市 災害に強いまちづくり
ワークショップニュース 第2号(金沢西地区編)
ワークショップニュース 第2号(金沢西地区編)
自分の住むまちをみんなで点検しよう
平成14年9月7日(土曜日) 第2回ワークショップ
第2回ワークショップでは、金沢大学工学部土木建設工学科の北浦教授にご講演いただきました。また、地震防災の観点から自分たちが住むまちにどのような良い点や問題点があるかを調べるため、参加者の皆さんが4つのグループに分かれ、「タウンウォッチング」を行いました。その後、それぞれの地区の良い点や問題点をグループ毎にまとめ、発表していただきました。
金沢大学工学部北浦教授による講演
1. 地震発生の予測について
- 金沢では、マグニチュード7.2程度の地震が30年内に最大5%、50年間では最大9%、100年間では最大20%の確率で発生すると予想されている(森本・富樫断層)。
- マグニチュード7.2とは、阪神・淡路大震災クラスの非常に規模の大きい地震である。
- 阪神・淡路大震災を引き起こした野島断層は、30年前には0.4〜8%の確率であったが、地震の直前には2%〜80%と、30年の間に急激に上がっている。
- このため、金沢の場合も、30年では5%だが、急激に確率が上がる可能性があるため、我々は、できる範囲で防災対策の準備をするしかない。
2. 阪神・淡路大震災の事例について
- 日頃からまちづくりを活発に行っていた地域では出火率も低く、消火も迅速に行われた。
- 最後は類焼で燃えてしまったが、地域の人々の命は助かった。過去の大規模地震災害の状況から見ても、地震の直後には県や市は救助・復旧対策にすぐに動けないのが実態であり、静岡県では、3日間は何もできない、自分で対処する必要があるということを明言している。
- まず自分たちで生き残れるようにするため、自分たちの町は自分たちで守り、危険なところを改良していくこと(自助)が何よりも重要である。
- その次に地区の住民同士でお互いに助け合うこと(共助)が必要であり、最後に、金沢市あるいは石川県や国などの行政からの応援が得られることとなる(公助)。
- 防災においては、「知恵と備えと人の輪」が重要である。
3. 地震時における金石西地区での可能性について
- 金沢市で現在行っている主な防災対策としては、「建物の耐震診断や補強に対する助言等」、「小中学校の防災拠点化をねらいとした耐震補強・防災井戸の設置・同報防災無線の設置」、「公園の防災拠点化」、「公民館・児童館などの整備の推進」、「自主防災組織に対する防災資機材等の整備に対する支援」、「様々なパンフレットの作成や、講習会の開催をとおした耐震診断と耐震補強の啓蒙活動」等を行っている。
- 防災対策として必要な内容として、消防自動車が通行可能な道路の隅切りの整備と拡幅、焼け止まり効果を持つ公園緑地・緑化の推進が必要である。
- 阪神淡路大震災による延焼遮断効果は、耐火建築物等:23%、道路・鉄道:39.9%、空き地(公園緑地を含む):22.7%であった。
- さらに、隣近所とのコミュニケーション維持による助け合いの心の醸成が必要である。
- 能登沖でマグニチュード7.8の地震が発生したと仮定した場合、能登では7.2メートルの津波、金石へはおよそ61分後に2.4メートル程度の津波が押し寄せてくるという試算が出ている。
- 津波の対策としては、金石中学校をはじめ3か所に同報無線が据えつけられている。
- 地震を感じ、津波の危険性を感じたら、放送のあるなしにかかわらず、高台へ逃げることが何よりも重要になる。
- (事務局)金石地区では、海岸部の埋め立ての計画があり、この実現により、津波被害の大幅な軽減が期待される。
- 金石西地区では、地盤が液体のように挙動する「液状化」が発生する可能性が高い。
- 液状化現象は構造物への被害は大きいが、人的被害の可能性は低い。
タウンウォッチングについて
第2回ワークショップでは、地震防災の観点から、自分たちが住んでいる町を点検し(タウンウォッチング)、どこにどのような良い点や問題点があるか、みんなで話し合いました。
各グループの発表の概要
一連の報告を受けたあと、これからのワークショップを進めるにあたり、参加者のみなさんの意見を伺いました。
Aグループ(金石西1丁目)
良い点
- 東西方向に広幅員な道路を有している。
- 利用可能な空地がある程度分布している。
- 消火栓が適切に配置されている。
- 防火水槽の管理状況は良好である。
問題点
- 車両の通行が困難な狭幅員の道路が多い。
- 消防水利が乏しい。
- 老朽建築物が存在している。
- 電柱・ポストが車両通行を阻害している 箇所がある。
Bグループ(金石西2丁目)
良い点
- 防火水槽が比較的適切に配置されている。
問題点
- 道路幅員の狭い区間が多い。
- 車両通行を阻害している電柱が多い。
- 避難等に利用可能な空地が乏しい。
- 倒壊の危険性がある老朽建築物が存在している。
Cグループ(金石西4丁目)
良い点
- 幅員が確保された道路が多い。
- 公園、ゲートボール場、旧講堂跡地、駐車場を含む一体的な避難地としての活用が可能なスペースがある。
- 緊急時に車両の切り回しが可能となる可動式ゲートの設置工夫箇所がある。
問題点
- 交差点部分の道路幅員が特に狭い。
- コンクリートブロックの崩壊の危険性が高い箇所がある。
- 隅切りが未整備の箇所がある。
- 空き家が多く分布している。
- 倒壊する危険性の高い山門がある。
- 車両の通行を阻害している電柱が多い。
- 倒壊の危険性がある電柱がある。
Dグループ(金石西3丁目)
良い点
- 要川沿線の道路は、十分な幅員が確保されている。
- 本龍寺、専長寺、龍源寺、道入寺の境内地、墓地は、最寄りの避難地として活用できる。
- また、避難地として機能できる民間駐車場が分布している。
問題点
- 隅切りが未整備のままの箇所がある。
- 車両の通行を阻害している電柱が多い。
- 要川の汚染がひどく、消防水利として利用しづらい。
- 空き家が多く分布している。
- 頑強な建物がない。