千田家庭園
記念物 名勝
千田家庭園 (せんだけていえん)
| 所在地 | 金沢市長町1丁目4番22号 |
|---|---|
| 市指定名勝 | 平成25年1月11日指定 |
千田家庭園は、近世城下町時代、武家屋敷が所在していた跡地に、明治27年(1894)から翌年にかけて主屋の建物とともに整備されました。その後大正初期にかけて少しずつ手が加えられたとみられますが、以降は現在の形状とほぼ一致しています。
敷地の北西部に設けられた主庭(文化財指定範囲)は、敷地西側に沿う大野庄用水の流れを引いた曲水を中心に構成され、主屋からみた対岸には築山を配し、要所に三重層塔や景石を置いています。座敷から土縁を介して高低差のある眺めを観賞しますが、焦点となる築山の滝流れ付近は曲水の幅を広げて池泉に見立てるなど、工夫を凝らした作庭意図がうかがえます。また曲水には東西に渡りとなる石橋が架けられており、回遊を楽しむこともできます。
築山背後にみられる、土留めと曲水護岸を兼ねた石積は、犀川から供給される河原石や庭園造成に伴い敷地から出た玉石などを利用したものと推測されますが、粒を揃えた状態で繊細に積み上げられており、当時の高い造園技術を示すとともに、視点場からはみえない箇所にまで美しさが追求されています。
水辺にはサツキツツジを中心としたツツジ類が至るところに配置され、満開時には色鮮やかな庭園に変化し、見所の1つとなっています。
千田家庭園は、明治時代の金沢にみられた庭園様式や造園技術を知ることができる貴重な事例です。また、界隈の武家屋敷跡地に整備された庭園で確認できるものでは、用水を造園意匠に生かした最初期の事例であるとみられ、金沢の庭園文化を理解するうえで極めて重要な庭園です。
庭園を彩るツツジ類
大野庄用水 庭園の曲水に利用している




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