木造日蓮聖人坐像附胎内舎利塔
有形文化財 美術工芸品:彫刻
木造日蓮聖人坐像附胎内舎利塔(もくぞうにちれんしょうにんざぞうつけたりたいないしゃりとう)
所在地 | 金沢市薬師町ロ75番地 宗教法人 本興寺 |
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市指定文化財 | 平成27年9月11日指定 |
本興寺は北陸における日蓮宗の古刹で、南北朝の永和年間(1375~1379年)または康暦2年(1380年)に日像門流の乗運が開いたと伝えられます。木造日蓮聖人坐像は、祖師堂に安置されています。
その生気に溢れた写実的な面貌から、みずみずしい青年期の日蓮聖人の面容を表しています。姿態は説法像で法衣の上に袈裟をかけ、袖口を前にして端を左右に長く跳ねた彫技は印象的です。頭部内面の墨書に、文明4年(1472年)に祐俊という仏師が制作し、収恩、実有、堅乗という3人の本願主によって寄進されたことが記されています。
像高は50.0センチメートルあり、胎内には高さ17.0センチメートルの丸形厨子を据え、その中に総高13.1センチメートルの彫金舎利塔を安置しています。内部を三段に区切り、中段に内蔵された文書に上段に仏舎利、中段に日蓮の遺骨、下段に日蓮の直弟子日朗と孫弟子日像の遺骨(瑪瑙質小石)を納めたことが記されています。
中世に造像された日蓮の肖像彫刻に、紀年銘があるものは極めてまれですが、本像は紀年銘によって造像年次も明らかであり、室町中期の基準作として、願主、作者名を有する重要なものです。また、石川県内所在の在銘日蓮聖人像は羽咋市妙法寺の像が康正2年(1456年)造と最も古く、次いで文明4年造の本像が続きます。